医科の指導監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。
サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、個別指導と監査の対応業務を行っています。
個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。
弁護士鈴木が力を入れている指導監査に関するコラムです。
ここでは、東北厚生局の医科の個別指導での指摘事項(禁忌投与、適応外投与、長期漫然投与、過剰投与、併用投与、処方料、処方せん料)についてご説明を致します。 指摘事項は、東北厚生局の公表資料「平成26年度に実施した個別指導において保険医療機関(医科)に改善を求めた主な指摘事項(東北厚生局,平成28年6月)」に基づいています。
個別指導、監査に悩んでいる医師の方は、指導、監査に詳しい弁護士への速やかな相談を強くお勧めします。個別指導、監査においては、弁護士を立ち会わせるべきです。以下のコラムもご覧いただければ幸いです。
指導監査のコラム
1 個別指導と監査の上手な対応法
8 投薬等
投薬にあたっては、療養担当規則第20条(特に第2号)を遵守すること。特に後発医薬品の使用を考慮するとともに、患者に後発医薬品を選択しやすくなるように努めること。薬剤を使用するにあたっては、その必要性を十分に考慮したうえで、薬事法承認事項(効能・効果、用法・用量)を遵守すること。又、適宜、治療効果判定を行い、漫然と投与することのないように注意すること。
禁忌投与
@上部消化管出血の患者に対するプラビックス錠75mg
A低カリウム血症の患者に対するダイアート錠60mg(ただし、スローケー錠600mgを併用している期間を除く。)
Bうっ血性心不全の患者に対するタンボコール錠50mg
C胃潰瘍の患者に投薬されたロキソプロフェン60mg「EMEC」、同じくアンピロ ームカプセル27mg
D重篤な心疾患者に対するブスコパン錠10mg
E重症感染症の患者に対するエクア錠50mg、グルファスト錠10mg、ベイスンOD錠0.2の投与
適応外投与
@医学的診断根拠がなく更年期障害と診断された患者に対するツムラ加味逍遥散エキス顆粒(医療用)
A適応症がないにもかかわらず投与されたセレナール錠5
B非結核性抗酸菌症と診断し、その治療に用いたブロスターM錠10とゾピクロン錠7.5mg「サワイ」
C二次感染のない皮膚炎に対するリンデロンVG軟膏
D金属アレルギーに対するタチオン錠100mg
E慢性胃炎に対するクラシエ桃核承気湯エキス錠
F肝障害、原発性胆汁性肝硬変の疑いの患者に対するウルソ錠100mg
長期漫然投与(適宜効果判定が行われずに漫然と行われている投薬)
@逆流性食道炎に係るラベプラゾールナトリウム錠、タケプロンOD錠
A下肢神経痛、上肢末梢神経障害等の患者に対して、メコバラミン錠500「トーワ」を月余にわたって投与しているが、効果がみられないときは中止すること。
B当該疾患にビタミンの欠乏又は代謝障害が関与すると推定される場合でも、次の薬品を効果がないのに漫然と処方することのないよう改めること。
例:25mgアリナミンF糖衣錠
:ムコファジン点眼液
C末梢神経障害に対して投与されたメチコバール錠は、月余にわたって使用しても効果がみられないときは中止するよう注意すること。
Dガスモチン錠を慢性胃炎に伴う消化器症状に投与する場合は、一定期間(通常2週間)投与後、効果について確認するとともに、投与継続の必要性について検討し漫然と投与しないこと。
過剰投与
@慢性気管支炎・肺気腫に対するエリスロシンドライシロップW20%を常用上限の6g/日で、長期にわたっての投与。
Aロヒプノール錠について、高齢者の患者に過量投与しているものが認められたので改めること。
B高齢者の患者に対するハルシオン0.25mg錠の1回2錠投与の倍量投与の例が認められたので改めること。
併用投与
@次の併用注意の投与の例が認められたので注意すること。
例:微小血管狭心症に対するワソラン錠40mgとジゴキシンKY錠0.25の併用は、高度の徐脈を来たすことがあるので併用には注意すること。
:カロナールとアセトアミノフェンを含む薬剤との併用投与については、アセトアミノフェンの重複投与による重篤な肝障害が発現する恐れがあることから行わないようにすること。
A睡眠薬の併用にあたっては、多剤投与とならないよう注意すること。
B抗アレルギー剤の併用投与については、作用機序に注意すること。
重複投与
ARB降圧剤のアジルバ錠20mgとミカルディス錠40mg
処方料
@生活習慣病等の厚生労働大臣が別に定める疾患を主病としない患者に対し、特定疾患処方管理加算を算定している例が認められたので改めること。又、主病を明確にすること。
A同一診療日の院内処方と院外処方は原則として認められない。
処方せん料
@薬剤の一般的名称を記載した処方せんを交付した場合は、診療録に一般的名称で処方が行われた旨を記載すること。
A長期投薬加算について、別に厚生労働大臣が定める疾患を主病としない患者に対し算定している例が認められたので改めること。
その他
@ボグリボースOD錠の投与にあたって食前に服用と指示しているが、食直前服用と指示すること。
A投薬を実施するにあたり、診療内容及び診断根拠等を診療録に記載していない例が認められたので改めること。
B薬価基準に収載されている医薬品は、薬事法承認事項(効能・効果、用法・用量、禁忌等)の範囲内で使用した場合に保険適用となるものであり、承認事項は、医師の裁量で変えられるものではないことに留意すること。
Cボナフェック坐剤の用法は、肛門でなく「直腸内」挿入であるので注意すること。
Dパップ剤の処方にあたっては、部位(左右)も指示すること。
E薬剤名を誤って請求している例が一部認められたので、診療部門と事務部門との連携を図り、適正に保険請求を行うよう改めること。
F当該傷病の原因がビタミン欠乏であることの医学的診断根拠に乏しい、又は食事摂取可能な患者にビタミン製剤を投与しているものについて、必要性を診療録及び診療報酬明細書に記載していない例が認められたので改めること。ビタミン剤を投与する場合は、画一的な使用とならないように必要性を明確にすること。
例:ノイロビタン配合錠、ハイシー顆粒25%、25rアリナミンF糖衣錠
G次の投与期間の上限を超えた投与の例が認められたので注意すること。
例:脳梗塞後遺症のめまいの患者に対するセロクラール錠20mg又はケタスカプセル10mgを、12週間を超えて投与しているが、副作用の発現を考慮し、効果がみられないときは中止すること。
:初診で逆流性食道炎と診断した患者に対し、ネキシウムカプセル20mgを8週間を超えての投与
H実際に診察した医師と処方せんの保険医氏名が異なっているものが認められたので改めること。
I患者の服薬状況(残薬等)を確認すること。
J次の薬剤については、添付文書の重要な基本的注意事項に留意して使用すること。
例:気管支喘息患者に対し、ダントリウムカプセル、ブロチゾラム錠
K長期投薬を行う場合は、予見できる範囲で行うこと。
L外用薬(貼付薬)について、診療録に用法指示の記載を行うこと。
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