医科の指導監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。
サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、個別指導と監査の対応業務を行っています。
個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。
弁護士鈴木が力を入れている指導監査に関するコラムです。
ここでは、東北厚生局の医科の個別指導での指摘事項(診療録の記載内容、診療録の記載方法、電子カルテ)についてご説明を致します。 指摘事項は、東北厚生局の公表資料「平成26年度に実施した個別指導において保険医療機関(医科)に改善を求めた主な指摘事項(東北厚生局,平成28年6月)」に基づいています。
個別指導、監査に悩んでいる医師の方は、指導、監査に詳しい弁護士への速やかな相談を強くお勧めします。個別指導、監査においては、弁護士を立ち会わせるべきです。以下のコラムもご覧いただければ幸いです。
指導監査のコラム
1 個別指導と監査の上手な対応法
1 診療録
診療録は患者の症状経過等を記録しておく重要なものであり、診療報酬請求の根拠となることを十分に認識し、保険診療に関する必要事項を、遅滞なく正確に記載するとともに内容の充実に努めること。
診療録の記載内容
@必要事項を記載していない又は乏しい例が認められたので改めること。(医師法で禁止されている無診察診療とも誤解されかねないので直ちに改めること。)
例:入院患者の診療録について、診療内容を記載していない。
:外来患者の診療録について、診療内容を記載していない。
:外来患者の診療録について、「do」等の記載、「変わりなし」等の画一的な記載のみで、投薬等の治療が行われている。
:多日数通院での注射、処置、CT撮影及びMRI撮影等について、その必要性の記載が乏しい。
:処置内容、処方内容の記載が不十分である。
:外来患者の診療録について、「次回診察」という旨の記載で治療が行われている。
:再診の患者について、診療録の記載内容が乏しい。
A主病が複数ある例が認められたので、原則主病は一つとすること。
B主病及び主訴について不明な例が認められたので改めること。
C診療録と診療報酬明細書との傷病名に不一致が認められたので、十分確認すること。
D診療録に、患者の臨床所見や検査所見の記載がない又は乏しい例が認められたので、医師は、診療の都度、遅滞なく診療の経過、正確な病名、転帰及びその日付を記載すること。
E診療録が療養担当規則第22条の様式に準じていないので改めること。
F再診を行った場合に「外来診察料」と押判しているのは誤りなので、保険診療に関する事項は、正確に記載すること。
G患者の臨床所見について、処置をした鼻孔の左右の別を記載するよう改めること。
H傷病の終了年月日及び転帰の記載がないものが認められたので改めること。
I医師の家族への自家診療に関する診療録の記載が乏しい例が認められた。緊急の場合や在宅医療以外は保険医療機関で診療を行うこととされているので、適切な場所で診療を行うこと。往診又は訪問診療で行う場合は、患者の求めに応じて患家に赴き診療を行った旨を診療録に記載すること。
J自家診療患者の診療録について、第1号(1)の2様式、第1号(1)の3様式に一部不適切な記載が認められたので、適切に記載すること。
K施設入所者の診療録について、記載内容が不十分な例が認められたので診療内容の記載の充実を図ること。
L訪問看護ステーションの訪問部分が診察と記載されている例が認められたので、医師の診察と誤解を受けない記載とすること。
M本院と分院の両方を受診している患者の診療録については、それぞれの保険医療機関ごとに診療録を作成すること。
N第1号(1)の2様式の処方内容の記載が番号のみで判別しがたいので、わかりやすく記載を行うこと。
O診療録の様式第1号(1)の3に診療の点数が記載されていないので、記載すること。
P第1号(1)の3様式が作成されていないので、早急に整備を行うこと。
Q第1号(1)の3様式について、患者ごとに記載を行うこと。
R第1号(1)の3様式の点数について、種別ごとに記載を行うこと。
診療録の記載方法
@診療録の記載方法に不適切な例が認められたので改めること。
例:独自の略称の使用、欄外記載、修正液の使用、判読不能、鉛筆による記載、鉛筆による抹消、朱線等による抹消、塗りつぶし、空白範囲が広い、1行に複数病名記載、医師の診療を看護記録へ記載、処方済み医薬品の記録の抹消、患者氏名の誤記等。
A複数の医師が同一の患者を担当する場合は、診療日ごとに担当した医師が、署名又は記名・押印を行い、責任の所在を明確にすること。
B医師以外の者による記載が一部確認されたが、診療録の記載は医師が行うこと。やむを得ない場合には、必ず医師自らが記載内容を確認の上、署名又は記名・押印を行うこと。
C保険診療の診療録と保険外診療の診療録とが区別されていないので改めること。
D診療録は、公文書に準ずるものと認識し、メモ書きは行わないよう改めること。
E診療内容の記載について、紙による貼付は不適切であるので行わないこと。
F空欄は「以下余白」等で処理を行うこと。
G処方せん欄の変更について、横線による抹消は、誤記記載とされるので行わないこと。
H薬剤の処方に係る記載について、診療録の別葉を用いる等わかりやすく処方管理を行うこと。
I薬剤の処方に係る記載について、医師は診療の都度、遅滞なく必要な事項を診療録に記載すること。又、やむを得ず口述筆記させた場合には、担当医が確認して押印又は署名すること。
電子カルテ
@電子的に保存している記録について、不適切な例が認められたので改めること。
例:パスワードの更新期限を設定していない。
:職員個々のID、パスワードの管理が適切になされていない。
:医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第4.2版に準拠していない。
:「1日1回1日分」との記載が出力される例が多数認められたので、不必要な事項は出力されないようにすること。
:電磁的記録に記録された事項について、保存すべき期間中における当該事項の改変又は消去の事実及びその内容を確認できる措置を講じ、かつ当該電磁的記録の作成に係る責任の所在を明らかにすること。(真正性の確保)記録の更新内容、更新日時を記録するとともに、更新内容の確定責任者の確認情報を関連づけて保存すること。
A診療情報提供書等の紙媒体が生じる場合は、スキャナ等により電子化して保存を行うこと。
B診療録が紙によるものと医療情報システム(電子カルテ)によるものが混在しているのでどちらかに統一すること。
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