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医療機関への個別指導での、厚生局の傷病名の指摘事項です。指導、監査に臨む医師の方は、医療機関への個別指導、監査に強い弁護士にご相談下さい。

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東北厚生局の個別指導(14):傷病名

医療機関への個別指導に強い、弁護士の鈴木陽介です。


ここでは、保険医療機関への東北厚生局による医科の個別指導での指摘事項(傷病名、傷病名の記載、医学的根拠、傷病名の整理)をご説明します。 指摘事項は、東北厚生局の公表資料「平成27年度に実施した個別指導において保険医療機関(医科)に改善を求めた主な指摘事項(東北厚生局,平成29年2月)」に基づいています。

医療機関への個別指導、監査に臨む医師の方は、指導監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。個別指導、監査には、弁護士を立ち会わせるべきです。詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。

 【コラム】個別指導と監査の上手な対応法


2 傷病名等


 1 傷病名の記載又は入力について

@診療録にない傷病名が診療報酬明細書に認められたので、診療録は保険請求の根拠であることを十分認識して不備のないように点検・注意すること。

A傷病名の誤入力が認められたので改めること。

B単なる状態や傷病名ではない事項を傷病名欄に記載している。傷病名以外で診療報酬明細書に記載する必要のある事項については、摘要欄に記載するか、別に症状詳記を作成すること。

C主病以外の傷病名について、漏れなく記載すること。

D診療録への傷病名の記載は、診療録の様式第1号(1)の1の所定の欄に記載すること。

E診療録の傷病名欄の記載は、1行に1傷病名を記載して転帰とその年月日を記載するよう改めること。

F傷病名は、ICD10 等に準拠し記載すること。

G医師により、診療の都度、遅滞なく正確な病名、転帰及びその日付を記載し整理すること。

H傷病名の転帰は二本線等で抹消せず、転帰欄にて処理を行うこと。

 2 傷病名の医学的根拠について

@傷病名の医学的根拠について、次の事例が認められたので改めること。
ア 医学的に妥当と考えられない傷病名例
   例:花粉症、体力低下、低酸素血症、発熱、嘔吐症、嘔気、両下腿筋肉痛、筋肉痛、背部痛、疼痛咳、悪心、倦怠感、皮下腫脹、食欲不振、胃痛、CEA 高値、CA19−9高値、ビタミンB2欠乏症
イ 医学的な診断根拠が脆弱な傷病名例、所謂レセプト病名と紛らわしい病名例
   例:慢性胃炎、胃炎、不眠症、ビタミンB1欠乏症、栄養摂取不良
ウ 医学的な診断根拠が明確でない投薬目的で付けられた傷病名例

 3 傷病名の整理について

@傷病名について、適切に整理していない次の事例が認められたので改めること。
ア 傷病名が適切に整理されず、長期に継続している例(傷病名の整理は随時行い正しく転帰を記載すること。)
イ 傷病名を重複して付与している例
ウ 確定病名と疑い病名の整理が不適切な例

 4 その他(不適切な事項)

@主病が複数ある例が認められたので、原則として、主病は1つとすること。

A急性・慢性の別の記載がない傷病名が認められたので改めること。
  例:気管支炎、結膜炎、胃炎、腸炎、胃腸炎、肝機能障害、膀胱炎

B部位、左右、範囲の別の記載がない傷病名が認められたので改めること。
  例:関節炎、皮膚感染症、リンパ節炎、上室性、心室性等の別の記載がない不整脈、皮膚欠損創

Cウイルス性、細菌性等の別の記載がない傷病名が認められたので改めること。
  例:肺炎

D種々の(疑い)病名で検査等が実施されているが、診療録へ診察所見や症状など診断根拠の記載がなく、検査等の査定を防ぐ目的で付けられたレセプト病名との疑いをもたれかねないので、診察の都度、診察所見や症状など診断根拠を十分記載するよう改めること。
 レセプトの請求内容を説明するうえで傷病名のみでは不足と思われる場合は、摘要欄に記載するか、別に症状詳記を作成すること。

E慢性肝炎には、B、C 型等の別の記載をするよう努めること。

F慢性心不全の原因疾患名を明記するよう努めること。

G医学的な診断根拠が明確でない検査目的で付けられた傷病名が認められたので改めること。なお、検査の目的が傷病名から類推できない場合は、別に症状詳記を作成すること。


医療機関への個別指導、監査に臨む医師の方は、お電話下さい。個別指導、監査への対応方法を弁護士がアドバイスします。

個別指導、監査のコラム


医療機関の指導監査の弁護士のコラム一覧です。
個別指導、監査の際にご活用下さい。

 東北厚生局の個別指導のコラム

平成26年度
1  東北厚生局の個別指導(1):診療録、電子カルテ
2  東北厚生局の個別指導(2):傷病名
3  東北厚生局の個別指導(3):初診料、再診料、外来管理加算
4  東北厚生局の個別指導(4):医学管理料、診療情報提供料
5  東北厚生局の個別指導(5):在宅医療、往診料、訪問診療料
6  東北厚生局の個別指導(6):血液化学検査、腫瘍マーカー
7  東北厚生局の個別指導(7):禁忌投与、適応外投与、漫然投与
8  東北厚生局の個別指導(8):注射、リハビリテーション
9  東北厚生局の個別指導(9):精神科専門療法、処置、麻酔
10 東北厚生局の個別指導(10):看護、看護記録、看護計画
11 東北厚生局の個別指導(11):入院時食事療養、入院時生活療養
12 東北厚生局の個別指導(12):届出事項、掲示事項、一部負担金

平成27年度
13 東北厚生局の個別指導(13):診療録、電子カルテ
14 東北厚生局の個別指導(14):傷病名
15 東北厚生局の個別指導(15):初診料、再診料、入院料
16 東北厚生局の個別指導(16):特定疾患療養管理料
17 東北厚生局の個別指導(17):在宅患者訪問診療料
18 東北厚生局の個別指導(18):検体検査実施料、生体検査料
19 東北厚生局の個別指導(19):処方料、処方せん料
20 東北厚生局の個別指導(20):注射、リハビリテーション
21 東北厚生局の個別指導(21):皮膚科処置、皮膚科軟膏処置
22 東北厚生局の個別指導(22):麻酔管理料、神経ブロック
23 東北厚生局の個別指導(23):診療報酬請求、請求事務
24 東北厚生局の個別指導(24):保険外負担、診断群分類

 保険医取消の実例紹介のコラム

1  保険医取消の実例:後発医薬品を先発医薬品とする不正請求
2  保険医取消の実例:診療報酬不正請求による逮捕と保険医取消
3  保険医取消の実例:検査結果の廃棄、保険適用外診療の不正請求
4  保険医取消の実例:死亡患者の診療報酬請求、コンタクトの不正
5  保険医取消の実例:鍼灸院や整骨院との不正請求、診療録の不作成
6  保険医取消の実例:監査の不出頭、カルテの改ざんによる取消処分
7  保険医取消の実例:無診察処方、無診察投薬による取消処分
8  保険医取消の実例:個別指導中の医師の入院と指導の延期

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