医科の指導監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。
サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、個別指導と監査の対応業務を行っています。
個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。
ここでは、後発医薬品を先発医薬品とする不正請求(振替請求)での個別指導、監査での保険医療機関の指定の取り消し、保険医の登録の取り消しの事例をご紹介します。平成28年9月付及び平成28年6月付の取消処分であり、厚生労働省近畿厚生局の公表事例です。説明のために、簡略化等をしています。
個別指導、監査に臨む医師の方は、指導監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。個別指導、監査には、弁護士を立ち会わせるべきです。詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。
【コラム】個別指導と監査の上手な対応法
診療報酬請求の検査項目と実際の検査項目の不一致
監査を行うに至った経緯
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査に至る経緯は以下のとおりです。
1 個別指導の実施に至る経緯
平成26年2月28 日、匿名の者から、大阪府を通じて近畿厚生局指導監査課に対し、注射薬について、後発医薬品を使用したにもかかわらず、先発医薬品を使用したものとして保険請求している旨及び実際に行っていない検査を行ったものとして保険請求している旨の情報提供があった。
2 個別指導の中断に至る経緯
平成27年6月11 日、個別指導を実施したところ、薬剤の納品書及び患者ごとの一部負担金の日計表の持参がなかった。また、検査委託業者の請求明細書を確認したところ、検査の診療報酬が請求されているにもかかわらず、一部の検査項目について費用の請求がない患者が散見された。このことについて、開設・管理者である医師から明確な回答がなかったことから、個別指導を中断した。
3 個別指導の中止、監査に至る経緯
平成27年10月21日、個別指導を再開し、薬剤の納品書を確認したところ、診療報酬が請求されているにもかかわらず、購入実績が確認できない薬剤が見受けられた。このことについて、医師は、実際には後発医薬品を使用したにもかかわらず、先発医薬品を使用したものとして、診療録に不実記載し診療報酬を請求していたことを認めた。また、診療報酬が請求された検査項目と実際に実施した検査項目が一致していないことを認め、不正請求の疑義が生じた。これらのことから、個別指導を中止し、平成27年12月25日ほか計4回の監査を実施した。
取消処分の主な理由
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、取消処分の主な理由は以下のとおりです。
1 付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。
2 振替請求
実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬を不正に請求していた。
診療報酬の不正、不当請求の金額
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査において確認した不正、不当請求に係るレセプト件数及び金額は、以下のとおりです。
平成26年8月〜平成27年7月
不正請求 30名分 レセプト 130件 37万0082円
不当請求 31名分 レセプト 285件 58万1031円
※ 監査において判明した分以外についても、
不正・不当請求のあったものについては、
監査の日から5年前まで遡り、
保険者等へ返還させることとしている。
後発医薬品の使用を先発医薬品の使用とする不実記載(振替請求)
監査を行うに至った経緯
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査に至る経緯は以下のとおりです。
1 個別指導の実施に至る経緯
平成25年7月31日、匿名の者から近畿厚生局指導監査課に対し、@薬剤情報に係る文書を提供していないにもかかわらず、薬剤情報提供料を請求している、A定期的に薬のみ受け取りにくる患者に診察せずに調剤し、再診料等を請求している、B実際には月1回の診療で28日分の調剤をしているにもかかわらず、月2回の診療とし、14日分ずつ調剤したものとして再診料等を請求している、C実際に受診した患者に、患者の知人の薬剤も合わせて調剤のうえ手渡したにもかかわらず、知人を診察したものとして再診料等を請求している旨の情報提供があった。
2 個別指導の中断に至る経緯
平成26年12月17日、個別指導を実施したところ、指導対象患者の診療録の一部について持参がなかった。また、医薬品の納品伝票又は請求書から購入実績が確認できない医薬品について、医師から明確な回答が得られなかったため、個別指導を中断した。
3 個別指導の中止、監査に至る経緯
平成27年3月11日、個別指導を再開したところ、医師が後発医薬品を先発医薬品に振り替えて診療報酬を不正に請求していたことを認めたことから個別指導を中止し、平成27年4月13日ほか計14回の監査を実施した。
取消処分の主な理由
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、取消処分(取消相当)の主な理由は以下のとおりです。
1 架空請求
実際には行っていない保険診療を行ったものとして、診療報酬を不正に請求していた。
2 付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。
3 振替請求
実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬を不正に請求していた。
4 二重請求
患者から自費を徴収しているにもかかわらず、保険診療したかのように装い、診療報酬を不正に請求していた。
5 その他の請求
診察をせず調剤し、診療報酬を不正に請求していた。
診療報酬の不正、不当請求の金額
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査において確認した不正、不当請求に係るレセプト件数及び金額は、以下のとおりです。
平成22年5月〜平成27年1月
不正請求 28名分 レセプト 132件 35万1680円
不当請求 30名分 レセプト 83件 4万1145円
※ 監査において判明した分以外についても、
不正・不当請求のあったものについては、
監査の日から5年前まで遡り、
保険者等へ返還させることとしている。
後発医薬品を先発医薬品とする不正請求(振替請求)での個別指導、監査に悩んでいる医師の方は、お電話下さい。個別指導、監査への対応方法を弁護士がアドバイスします。