医師の無診察での不正請求（無診察処方、無資格者処方）による個別指導、監査の実例です。指導、監査に臨む医師の方は、個別指導に強い弁護士にご相談下さい。

医科の指導監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、個別指導と監査の対応業務を行っています。

個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。

ここでは、文書での情報提供により個別指導が実施され、無診察での不正請求が疑われ監査となり、取消しとなった実例をご紹介します。平成３０年１０月付の取消事案であり、厚生労働省の中国四国厚生局が公表した事例です。説明のため簡略化等をしています。

個別指導、監査に臨む医師の方は、指導監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。個別指導、監査には、弁護士を立ち会わせるべきです。詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。

【コラム】個別指導と監査の上手な対応法

無診察での不正請求が情報提供で個別指導となり監査となった実例

　１　監査に至る経緯

中国四国厚生局の公表資料によれば、監査に至る経緯は以下のとおりです。

１　文書による不正請求の情報提供

平成２４年１２月、匿名の者から中国四国厚生局指導監査課に対し不正な請求をしている旨の情報提供が文書により寄せられた。

２　個別指導の実施、指導の中断

平成２６年１月３０日、個別指導を実施したところ、情報提供の内容に係る疑義が解消されなかったため個別指導を中断した。

３　個別指導の再度の中断

平成２６年９月２５日、個別指導を再開したが、情報提供の内容に係る医師の関与に関して明確な回答がなかったため、再度、個別指導を中断した。

４　患者調査の実施、監査への移行

患者調査を実施したところ、診療報酬請求に関して不正または著しい不当が強く疑われたことから個別指導を中止し、平成２６年１２月から平成２９年１月まで計１１回の監査を実施した。

　２　取消相当の主な理由

当該保険医療機関の監査を実施した結果、以下の事実を確認した。

【保険医療機関の事故】

１　無診察などで保険診療と認められない請求

保険診療と認められないものを、保険診療を行ったものとして診療報酬を不正に請求していた。
・診察せず、院外処方せんを発行し診療報酬を不正に請求していた。
・診察せず、無資格者が院外処方せんを発行し診療報酬を不正に請求していた。
・自己診療及び家族に行った診療を別の従業員に保険診療したものとして診療報酬を不正に請求していた。

２　算定要件を満たさない不当請求

算定要件を満たさない診療報酬を不当に請求していた。

【再指定等】
原則として、５年間は再指定を行わない。

【根拠条文】
保険医療機関の指定取消
　健康保険法第８０条第１号、第２号、第３号及び第６号

　３　診療報酬の不正、不当請求金額

中国四国厚生局の公表資料によれば、監査において確認した不正、不当請求の金額は、以下のとおりです。

（１） 不正 １３名　１，３５２，４４２円
（２） 不当 １７名　２，８８４，２７８円

なお、監査で判明した分以外についても不正・不当請求のあったものについては、平成２１年１２月以降のものを自己点検のうえ、保険者等へ返還させることとしている。

個別指導、監査に臨む医師の方は、お電話下さい。無診察の不正請求での個別指導への対応など、弁護士がアドバイスします。