医科の指導監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。
サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、個別指導と監査の対応業務を行っています。
個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。
弁護士鈴木が力を入れている個別指導のコラムです。
ここでは、厚生労働省が作成した医科の指導講評でのチェックリスト(投薬、注射)をご説明します。弁護士鈴木が平成29年6月9日に厚生労働大臣から開示決定を受けた医科指導講評セット(平成28年度版)に基づいており、弁護士鈴木が適宜加筆修正をしています。
指導監査のコラム
1 個別指導と監査の上手な対応法
投薬、注射の指摘事項
□投薬・注射について、以下の不適切な例が認められた。保険診療において薬剤を使用するに当たっては、医薬品医療機器等法承認事項を遵守すること。
1 禁忌投与
□(1)次の禁忌投与の例が認められたので改めること。
□・消化性潰瘍のある患者に対する[バイアスピリン錠 ・ ロキソニン錠 ・ロキソプロフェンナトリウム錠 ]の投与
□・重篤な血液の異常のある患者に対する[ ロキソニン錠 ・ ]の投与
□・血栓症又は血液凝固障害のある患者に対する静注用脂肪乳剤( )の投与
□・[ 緑内障 ・ ]の患者に対するブスコパン注の投与
□・[ 肝性昏睡又は肝性昏睡のおそれのある患者 ・ 重篤な腎障害のある患者 ]に対する[ フルカリック 号輸液、 ]の投与
□・[ スポンゼル ・ ゼルフォーム ]の血管内への投与
□・[ 出血性胃潰瘍 ・ ]の患者へのプリンペラン[ 注射液 ・ 錠 ・ ]の投与
□・
2 適応外投与
□(2)次の適応外投与の例が認められたので改めること。
―鎮静目的で使用―
□・[ セレネース注 ・ セレネース錠 ・ セレネース内服液 ・ ](統合失調症、躁病、器質的疾患に伴うせん妄・精神運動興奮状態・易怒性に対して処方した場合以外)
□・[ リスパダール錠 ・ リスパダール内用液](統合失調症、器質的疾患に伴うせん妄・精神運動興奮状態・易怒性、パーキンソン病に伴う幻覚に対して処方した場合以外)
□・1%ディプリバン注(全身麻酔・人工呼吸管理以外)
□・ドルミカム注射液(麻酔前投薬、全身麻酔の導入及び維持、集中治療における人工呼吸中の鎮静、区域麻酔時の鎮静以外)
□・プレセデックス静注液(人工呼吸管理・離脱後の鎮静・局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静以外)
□・
―抗癌剤―
□・
□・
―H2受容体拮抗剤・プロトンポンプ・インヒビター―
□・経口摂取可能な患者又は適応症以外の患者に対する[ ガスター注 ・ ザンタック注 ・ オメプラール注 ・ ]の[ 予防的 ・ 長期間 ]投与
□・胃潰瘍、急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期、逆流性食道炎等以外の患者に対する [ ガスター錠 ・ ]の投与
□・胃潰瘍、逆流性食道炎等以外の患者に対する[ オメプラール錠 ・ パリエット錠 ・ タケプロンOD錠 ・ ネキシウムカプセル ・ タケキャブ
・ ]の投与
□・
―ビタミン剤―
□・高カロリー輸液中以外の患者に対する高カロリー輸液用総合ビタミン剤( )の投与
□・
―その他―
□・術後でない腸管麻痺の患者に対する[ パントシン注5% ・ ]の投与
□・慢性肝疾患以外の肝疾患[薬剤性肝障害、急性肝炎]に対する肝機能異常の改善目的の[ 強力ネオミノファーゲンシー静注 ・ タチオン注射用 ・ ]投与
□・白血球数2,000/mm3未満又は好中球数1,000/mm3未満の適応症以外の患者に対するG-CSF製剤( )の投与
□・抗生物質等を投与していない患者に対する耐性乳酸菌製剤[ ビオフェルミンR(散・錠) ・ エンテロノン-R散 ・ ラックビーR散 ・ ]の投与
□・静注用キシロカイン2%をプロポフォール投与時の血管疼痛緩和の目的で投与
□・[ エポジン注 ・ ]を[ 貯血量800mL未満 ・ 貯血期間1週間未満 ]の自己血貯血に際して投与
□・[ ]の患者に対する[ ネオーラル・プログラフ・ ]の投与
□・[ ]の患者に対する注射用エラスポールの投与
□・低血糖の患者に対するブドウ糖の経口投与
□・[ 躁うつ病に伴う不眠症 ・ 統合失調症に伴う不眠症 ]の患者に対するマイスリー錠の投与
□・[ ]の患者に対する[ ]の投与
3 用法外投与
□(3)次の用法外投与の例が認められたので改めること。
□・[ メチロン注 ・ コントミン筋注 ]の静脈注射
□・
4 過量投与
□(4)次の過量投与の例が認められたので改めること。
□・強力ネオミノファーゲンシー静注を慢性肝炎以外の[ ]の患者に対して20mLを超えて( mL)投与
□・ 総合ビタミン剤([ ビタメジン ・ ])を1v/日を超えて投与
□・ H2受容体拮抗剤([ ガスター錠40mg/日 ・ ])を [ 急性胃炎 ・ 慢性胃炎の急性増悪期 ]の患者に対して投与
□・
5 長期漫然投与
□(5)次の長期漫然投与の例が認められたので改めること(同一の投薬は、みだりに反復せず、症状の経過に応じて投薬の内容を変更する等の考慮をすること)。
□・[ ]の[ 日間]投与
□・[ タケプロンOD錠 ・ オメプラール錠 ・ パリエット錠 ・ネキシウムカプセル ・ タケキャブ ・ ]を[胃潰瘍 ・吻合部潰瘍(8週間まで)・逆流性食道炎(8週間まで)・十二指腸潰瘍(6週間まで) ・ 非びらん性胃食道逆流症(4週間まで) ]の患者に対して定められた期間を超えて投与
□・メチコバール錠の月余にわたる漫然投与
□・
6 重複投与
□(6)次の重複投与(成分、作用機序がほぼ同一のものを併用)の例が認められたので改めること。
□・総合ビタミン剤( )と各種ビタミン剤( )の併用
□・[ オメプラール ・ ガスター・ ]を経口と注射で併用
□・
7 多剤投与
□(7)次の不必要な多剤投与(同じ適応症に対して、成分又は作用機序が異なるもの)の例が認められたので改めること。
□・H2受容体拮抗剤( )とプロトンポンプ・インヒビター( )の併用
□・( )と( )と( )の併用
□・
8 抗菌薬の不適切使用
□(8)抗菌薬等の使用について、次の不適切な例が認められたので改めること。
※抗菌薬の不適切な使用はここにまとめる。
□・細菌培養同定検査、薬剤感受性検査等の適正な手順を踏まずに、必要性の乏しい広域抗菌薬( )を投与している。
□・細菌感染症の所見、徴候が認められない患者に対して、予防的に抗菌薬を投与している。
□・治療効果や薬剤感受性試験の結果を検討しないまま漫然と長期間投与を継続している。
□・抗菌スペクトルを検討せずに必要以上の多剤併用を行っている。
□(例: )
□・術中術後の感染予防のため、広域抗菌薬( )を投与している。
□・術後に抗菌薬の投与を( )日間に渡り漫然と継続している。
□・[ ゲンタシン注 ・ アミカシン注 ・ ] を洗浄目的で使用している。
□・
9 血液製剤の不適切使用
□(9)血液製剤の使用について、[厚生労働省医薬食品局から示されている指針に準拠していない]次の不適切な例が認められたので改めること。
□・アルブミン製剤( )を [ 慢性の病態においてアルブミン値2.5g/dL以上 ・ 急性の病態においてアルブミン値3.0g/dL以上 ]の患者に対して投与している。
□・アルブミン値を全く測定せずに、アルブミン製剤を[ 漫然と ]投与している。
□・新鮮凍結血漿を凝固因子の補充による出血傾向の是正以外の目的で投与している。
□・ヒト免疫グロブリン製剤( )を適応外の[ ]に対して投与している。
□・アルブミン製剤( )を適応外の人工心肺装置のプライミング目的に使用している。
□・( )を適応外の( )に対して投与している。
□・
10 薬剤の不適切な投与
□(10)薬剤の投与について、次の不適切な例が認められたので改めること。
□・食事摂取可能な患者にビタミン製剤を投与しているものについて、必要性を診療録及び診療報酬明細書に記載していない。
□・投与期間に上限が設けられている医薬品について、1回につき定められた日数分以上投与している。( )
□・経口投与が可能であるものについて、注射により薬剤を投与している。
□(例: )
□・抗癌剤( )の投与に際して、有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得ていない。
□・(200床以上の保険医療機関において)[ 処方料 ・ 処方せん料 ]を算定し、30日を超える長期の投薬を行うに当たって、医科点数表の通知に定める要件を満たさない場合であるにもかかわらず、患者に対して他の保険医療機関(200床未満の病院又は診療所)に文書による紹介を行う旨の申出を行っていない。(平成28年度改定より)
□・
11 院外処方、不適切な注射
□(11)投薬・注射について、次の不適切な例が認められたので改めること。
□① 院外処方せん
□・あらかじめ押印している。
□・様式が定められたもの又はこれに準ずるものとなっていない。
□・用法の記載が [ ない ・ 乏しい ・ 不適切である ]
□・用量の記載が [ ない ・ 乏しい ・ 不適切である ]
□・
□② 外来化学療法加算[ 1 ・ 2 ]
□・抗悪性腫瘍剤等による注射の必要性等について文書で説明し同意を得て実施していない。
□・登録された化学療法のレジメンの妥当性について委員会で継続的に評価していない。
□・
□③ 注射実施料
□・中心静脈栄養用植込型カテーテルからの注射について中心静脈注射で算定している。
□・精密持続点滴注射加算について、1時間に30mLより速い速度で注入しているものについて算定している。
□・精密持続点滴注射加算について、実施に係る記録がない。
□・血漿成分製剤加算について、算定要件を満たしていない。
□・説明に用いた文書の写しを診療録に貼付していない。
□・血漿分画製剤([ アルブミン製剤 ・ グロブリン製剤 等])について算定している。
□・
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指導監査のコラム
指導監査のコラムです。
個別指導、監査の際に、また日常の医院運営、臨床にご活用下さい。
個別指導のチェックリストのコラム
1
個別指導の指摘事項(1):講評、保険医療機関の特徴的事項
2
個別指導の指摘事項(2):カルテ
3
個別指導の指摘事項(3):傷病名
4
個別指導の指摘事項(4):初診料 再診料 入院料 入院基本料
5
個別指導の指摘事項(5):特定疾患治療管理料 診療情報提供料
6
個別指導の指摘事項(6):在宅医療
7
個別指導の指摘事項(7):検査、画像診断、病理診断
8
個別指導の指摘事項(8):投薬、注射
9
個別指導の指摘事項(9):リハビリテーション
10
個別指導の指摘事項(10):精神科専門療法、処置
11
個別指導の指摘事項(11):手術、麻酔、放射線治療
12
個別指導の指摘事項(12):薬剤
13
個別指導の指摘事項(13):看護、食事、寝具、設備
14
個別指導の指摘事項(14):請求事務(診療録等)
15
個別指導の指摘事項(15):請求事務(医学管理、在宅医療)
16
個別指導の指摘事項(16):請求事務(検査、投薬等)
17
個別指導の指摘事項(17):請求事務(処置、手術、麻酔等)
18
個別指導の指摘事項(18):保険外併用療養費
19
個別指導の指摘事項(19):一部負担金、保険外負担
20
個別指導の指摘事項(20):包括評価と診断群分類
21
個別指導の指摘事項(21):診療報酬の自主返還
22
個別指導の指摘事項(22):指導での診療報酬の自主返還
保険医取消の実例紹介のコラム
1 保険医取消の実例:後発医薬品を先発医薬品とする不正請求
2 保険医取消の実例:診療報酬不正請求による逮捕と保険医取消
3 保険医取消の実例:検査結果の廃棄、保険適用外診療の不正請求
4 保険医取消の実例:死亡患者の診療報酬請求、コンタクトの不正
5 保険医取消の実例:鍼灸院や整骨院との不正請求、診療録の不作成
6 保険医取消の実例:監査の不出頭、カルテの改ざんによる取消処分
7 保険医取消の実例:無診察処方、無診察投薬による取消処分
8 保険医取消の実例:個別指導中の医師の入院と指導の延期