個別指導と監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。
ここでは、診療に関する近畿厚生局の医科の個別指導での、請求事務や包括評価(DPC)などの指摘事項をご説明します。 指摘事項は、近畿厚生局の公表資料「平成29年度 個別指導(医科)における主な指摘事項」に基づいています。
厚生局の個別指導、監査に臨む医師の方は、指導監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。個別指導、監査には、弁護士を立ち会わせるべきです。詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。
【コラム】個別指導と監査の上手な対応法
1 目次
U 請求事務等に係る事項
1 診療報酬明細書の記載
2 一部負担金
3 保険外負担
4 掲示・届出事項
V 包括評価(DPC)に係る事項
1 診断群分類及び傷病名
W その他特記事項
2 請求事務等に係る事項
1 診療報酬明細書の記載等
(1)診療報酬明細書の記載等について、次の不適切な例が認められたので改めること。
@ 主傷病名について
ア 主傷病名ではない傷病名を主傷病名としている。
イ 主傷病名が明確となっていない。主傷病については原則1つとし、複数ある場合は「(主)」などと主傷病が判別できるように記載すること。
A 摘要欄の記載について
ア 特定薬剤治療管理料について、摘要欄に薬剤の血中濃度を測定している薬剤名及び初回の算定年月を記載していない。
イ 訪問診療を行った日を記載していない。
ウ 訪問診療にかかる記録書について、実際とは異なる診療人数を記載している。
エ 在宅酸素療法指導管理料について、摘要欄に動脈血酸素分圧又は動脈血酸素飽和度の測定結果を記載していない。
オ 電話等再診に係る再診料を算定したにもかかわらず、その算定回数を「摘要」欄に再掲していない。
カ 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2について、直近の無呼吸低呼吸指数及び睡眠時ポリグラフィ上の所見を記載していない。
キ 写真診断について、写真の部位を記載していない。
B 特別養護老人ホーム等に入所中の患者について診療報酬を算定した場合に、診療報酬明細書の特記事項欄に「施」と記載していない。
C 介護老人保健施設に入所中の患者について診療報酬を算定した場合に、診療報酬明細書の特記事項欄に「老健」と記載していない。
D 診療録様式第1号(1)の1に記載されている傷病名の一部が記載されていない。
E 診療報酬明細書に傷病名及び診療開始日を適切に記載していない。
F 診療録の記載内容と診療報酬請求書の請求内容(例:傷病名、検査名)が相違している。
G 診療報酬明細書は、提出前に必ず医師自らが診療録等と突合し、記載事項に誤りや不備がないか等について十分点検すること。
2 一部負担金等
(1)一部負担金の受領について
@ 受領すべき者から受領していない。
【例】従業員及びその家族
A 計算方法に誤りがある。
B 患者から一部負担金を受領した後に診療報酬の請求内容を変更し、又は減額査定されたことにより、患者から受領した一部負担金額に変更が生じた場合は、差額を徴収又は返金すること。
C 一部負担金の受領について、日計表に領収日を記載するなど、患者から受領した経緯を明確にしておくこと。
D 未収の一部負担金に係る管理簿を作成していない。
E 患者から一部負担金を受領したときは、その都度、領収証及び明細書を発行すること。
3 保険外負担等 (1)療養の給付と直接関係ないサービス等とはいえないものについて、患者から費用を徴 収している。 【例】薬袋代 4 掲示・届出事項等
(1)掲示・届出事項等について @ 掲示について、次の不適切な事項が認められたので改めること。 ア 施設基準に関する事項を掲示していない。 イ
保険外負担に関する事項を掲示していない。 ウ 明細書の発行等に関する事項を掲示していない。 (2)次の届出事項の変更が認められたので、速やかに届け出ること。
@ 保険医の異動 A 診療科目の変更 B 診療日・診療時間の変更
3 保険外負担等
(1)療養の給付と直接関係ないサービス等とはいえないものについて、患者から費用を徴収している。
【例】薬袋代
4 掲示・届出事項等
(1)掲示・届出事項等について
@ 掲示について、次の不適切な事項が認められたので改めること。
ア 施設基準に関する事項を掲示していない。
イ 保険外負担に関する事項を掲示していない。
ウ 明細書の発行等に関する事項を掲示していない。
(2)次の届出事項の変更が認められたので、速やかに届け出ること。
@ 保険医の異動
A 診療科目の変更
B 診療日・診療時間の変更
3 包括評価(DPC)に係る事項
1 診断群分類及び傷病名
(1)妥当と考えられる診断群分類番号と異なる診断群分類番号で算定している次の不適切な例が認められたので改めること。
@ 最も医療資源を投入した傷病名(ICD-10 傷病名)が、実際に最も医療資源を投入した傷病名と異なる。
ア 原疾患が判明しているにもかかわらず、相応の理由なく、異なる疾患を「最も医療資源を投入した傷病名」(ICD-10 傷病名)として選択している。
A 実際には「副傷病なし」とすべきものを「副傷病あり」として分類している。
ア 診断の根拠なく付与した傷病をもって「副傷病あり」としている。
4 その他特記事項
(1)審査支払機関からの返戻・増減点通知書について、内容を十分検討し、以後の治療や保険請求に反映させること。
(2)診療報酬の請求を行うにあたって、保険医は診療報酬明細書と診療録を照合するなど、請求内容が適正なものとなるよう努めること。
(3)前回の個別指導において、指摘事項に対する改善報告書を提出しているにもかかわらず改善が不十分であったため、より一層の改善を図ること。
(4)健康保険等の被保険者証の写しを保険診療に係る関係書類として保管している例が見受けられた。個人情報保護の観点から望ましくないので改めること。
(5)領収書等の交付について、次の不適切な事項が認められたので改めること。
@ 個別の診療報酬の算定項目が分かる明細書を交付していない。
近畿厚生局の個別指導に臨む医師の方は、お電話下さい。個別指導への対応を弁護士がアドバイスし、指導に同席します。