個別指導と監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。
ここでは、関東信越厚生局の医科の個別指導での、処置、手術、麻酔、病理診断、看護、診療録の様式、届出事項、院内掲示、一部負担金等に関する指摘事項をご説明します。
指摘事項は、関東信越厚生局の公表資料「平成27年度に実施した個別指導において保険医療機関(医科)に改善を求めた主な指摘事項」に基づいています。
個別指導、監査に臨む医師の方は、指導監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。個別指導、監査には、弁護士を立ち会わせるべきです。詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。
【コラム】個別指導と監査の上手な対応法
11 精神科専門療法
○入院精神療法の算定において、不適切な例が認められたので改めること。
・ 診療録に、実施内容の要点の記載がない。
○通院・在宅精神療法の算定において、不適切な例が認められたので改めること。
・ 診療録における要点の記載がない、又は記載内容が乏しい。
・ 診療録に、当該診療に要した時間の記載がない。
○精神科ショート・ケア、精神科デイ・ケアの算定において、不適切な例が認められたので改めること。
・ 診療録に診療内容の要点の記載がない、又は記載内容が乏しい。
○抗精神病特定薬剤治療指導管理料の算定に不適切な例が認められたので改めること。
・ 持続性抗精神病注射薬剤治療指導管理料の算定において診療録に治療計画及び指導内容の要点の記載がない、又は記載内容が乏しい。
12 処置
○診療録に処置の範囲、部位等の記載が不十分な例が認められたので、必要事項を的確に記載すること。
○消炎鎮痛等処置の算定において、診療録の記載がない例が認められたので改めること。
○皮膚科軟膏処置において、その範囲・部位等の記載が不十分な例が認められたので改めること。
○適時効果判定が行われずに消炎鎮痛等処置が漫然と行われている例が認められたので改めること。
※ 請求事務(診療報酬明細書作成)に係る事項
・ 重度褥瘡処置で算定すべきところ創傷処置で算定
○人工腎臓の障害者加算について、当該加算対象ではない患者に対して算定している例が認められたので改めること。
13 手術
○手術に係る算定において、不適切な例が認められたので改めること。
・ 手術内容の必要事項が記録されていない。
○手術において、手術説明書が作成されていない例が認められたので改めること。
※ 請求事務(診療報酬明細書作成)に係る事項
・ 実際には処置で算定すべきものを骨折非観血的整復術で算定
14 麻酔
○麻酔管理料の算定において、診療録に麻酔科標榜医による術前・術後の診療に関する記載がない例が認められたので改めること。
○神経ブロック注射について、診療録にその必要性の記載が不十分な例が認められたので改めること。
○神経ブロック注射の治療効果判定が適切に行われていない例が認められたので改めること。
○トリガーポイント注射において、診療録にその必要性の記載が不十分な例が認められたので改めること。
○施設基準として地方厚生(支)局長に届け出た常勤の麻酔科標榜医以外の者が診察を行ったものについて麻酔管理料(T)を算定している例が認められたので改めること。
15 病理診断
○病理判断料の算定において、病理学的な結果に基づく病理判断の要点の記載がない、又は乏しい例が認められたので改めること。
16 看護
1 看護管理・病棟管理
・ 看護管理日誌及び病棟管理日誌に看護要員の勤務状況等が適切に記録されていない。
・ 看護基準が作成されていない。
・ 看護手順が作成されていない。
2 看護記録・看護計画
・ 看護記録に、実施した看護内容が記録されていない。
・ 重症度、医療・看護必要度に係る評価の根拠が記載されていない。
・ 指示出し、指示受け、実施確認の手順が明文化されていない。
・ 口頭指示の対応規程が整備されていない。
3 外出・外泊
・ 外出、外泊における許可基準が作成されていない。
17 入院時食事療養・生活療養
1 一般的事項
・ 献立表に実施食数の記録が行われていない。
・ 食事の提供が行われていないにもかかわらず請求が行われている例が認められた。
・ 関係職員を採用した際の就業前の検便の未実施が見られ、適正確認がされていない。
2 入院時食事療養(T)又は入院時生活療養(T)
○栄養目標等
・ 普通食患者年齢構成表、給与栄養目標量および食品構成表が「日本人の食事摂取基準(2015 年版)」に基づいて適切に作成されていない。
○栄養管理
・ 食事せんについて、適応症病名が明瞭に記載されていない。
・ 院内約束食事せんが適切に作成されていない。
・ 献立表(一般食・特別食)が在院患者全ての食種について作成されていない。
○適時・適温食事の提供
・ 適温給食のための適切な配慮が行われていない。
○検食
・ 検食簿に、実施者の所見が記載されていない。
3 特別食加算
・ 特別食の食事せんに、患者の基本的な情報が記載されていない。
18 事務的取扱いに係る事項等
1 診療録の様式、取扱い
○診療録が定められた様式に準じていない例が認められたので改めること。
・ 労務不能に関する意見欄がない。
・ 業務災害又は通勤災害に関する欄がない。
・ 診療の点数等欄がない。
○電子的に保存している記録において「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第4.2 版」に準拠しない不適切な事項が認められたので改めること。
・ 電子カルテについて、個々のID、パスワードが設定されていない例が認められた。
・ パスワードの更新期限が2 か月を超えている。
2 届出事項
○届出事項の変更届を提出していない例が認められたので改めること。届出事項に変更があった場合は、速やかに厚生局各事務所に届出事項の変更届を提出すること。
・ 管理者、標榜診療科名、診療日、診療時間の変更
・ 保険医の異動(転入・転出)(常勤・非常勤)
・ 施設基準の変更及び辞退
3 院内掲示
○院内掲示を適切に行っていない例が認められたので改めること。
・ 保険医療機関である旨の標示がない。
・ 施設基準に関する届出事項について全て又は一部について掲示していない。
・ 明細書発行に関する掲示がない。
4 特別の療養環境の提供
○患者の同意文書の希望入退院期間、部屋番号、料金、申込日、説明者名、同意年月日が記載されていない例が認められたので改めること。
○入室日以降に同意の確認を行っている例が認められたので改めること。
○内容が変更となったにもかかわらず地方厚生局長への報告が行われていないので、報告すること。
5 保険外負担
○保険外負担の徴収について、「療養の給付と直接関係ないサービス等の取扱いについて」を参考にして、適正化を図ること。
○不適切な保険外負担の例が認められたので改めること。
・ 「療養の給付と直接関係のないサービス等」といえないものについて患者から徴収している。
6 一部負担金
○一部負担金の取扱いが適切でない例が認められたので改めること。
・ 患者、従業員、家族等から未徴収である。
・ 一部負担金に計算誤りが見られたので、的確に計算すること。
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