個別指導に強い、弁護士の鈴木陽介です。
ここでは、関東信越厚生局の医科の個別指導での、検査、画像診断、投薬、禁忌投薬、適応外投与、特定疾患処方管理加算、注射、長期漫然投与、リハビリテーションに関する指摘事項をご説明します。
指摘事項は、関東信越厚生局の公表資料「平成28年度に実施した個別指導において保険医療機関(医科)に改善を求めた主な指摘事項」に基づいています。
個別指導、監査に臨む医師の方は、指導監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。個別指導、監査には、弁護士を立ち会わせるべきです。詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。
【コラム】個別指導と監査の上手な対応法
6 検査
〇検査の算定で不適切な例が認められたので改めること。検査は個々の症状・所見に応じ、必要な項目を選択し、段階を踏み、漫然と実施することなく、その結果は適宜評価し治療に反映されたい。
1 必要性
○必要性のない又は乏しい検査の例が認められたので改めること。
・ 診療録にその必要性の記載がない。
(検査の例)
尿沈渣(鏡検法)、末梢血液像(自動機械法)、ヘモグロビンA1c(HbA1c)、遊離トリヨードサイロニン(FT3)、遊離サイロキシン(FT4)、腫瘍マーカー(TM)、癌胎児性抗原(CEA)、前立腺特異抗原(PSA)、CA19−9、梅毒血清反応(STS)定性、梅毒トレポネーマ抗体定性、HBs
抗原定性・半定量、C反応性蛋白(CRP)定性、C反応性蛋白(CRP)
・ 検査が症状・所見等に応じて適正に行われていない。
(検査の例)
細菌培養同定検査、生化学的検査(T)判断料、生化学的検査(U)判断料
・ 医学的に必要性が認められない。
(検査の例)
超音波検査
2 回数過剰
○必要以上に実施回数が多い検査の例が認められたので改めること。
・ 赤血球沈降速度(ESR)、C反応性蛋白(CRP)定性、C反応性蛋白(CRP)
3 その他
○呼吸心拍監視について、診療録に要点の記載(観察した呼吸曲線心電曲線、心拍数などの観察結果)がない。
○腫瘍マーカー検査について、診察及び他の検査・画像診断等の結果から悪性腫瘍の患者であると強く疑われる以外の者に対して実施している。
○健康診断と思われる検査の例が認められたので改めること。
○算定要件を満たさない検査が認められたので改めること。
・ 腫瘍マーカー検査
7 画像診断
○画像診断の算定において、実施した画像診断の必要性、結果及び結果の評価について、診療録への記載がない、又は記載内容の乏しい例が認められたので改めること。
○コンピューター断層撮影について、医学的な必要がない。
8 投薬
○投薬の算定において、診療録に必要事項の記載が乏しい例が認められたので改めること。
○投薬について、不適切な例が認められたので改めること。投薬に当たっては、その必要性を十分に考慮した上で、適応、用法、用量等の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律(医薬品医療機器等法)の承認事項を厳守して使用すること。また、治療効果判定を行い、漫然と投与することのないよう注意されたい。
1 禁忌投薬
・ 消化性潰瘍のある患者に対するアセリオ注の投与
2 適応外投与
・ イソジンガーグル液7%、ネキシウムカプセル、コロネル錠、ヒアレイン点眼液、マグラックス錠330 r、メコバラミン錠
3 類似薬効の薬剤の重複投与
・ 「ネキシウムカプセル」と「ガスター注射液」
・ 「ガスターD錠」と「タケプロンOD錠」
4 特定疾患処方管理加算
※ 請求事務(診療報酬明細書作成)に係る事項
・ 厚生労働大臣が定める疾患を主病としない患者について算定
5 その他
○ビタミン剤の投与が必要かつ有効と判断した趣旨の診療録への記載が不十分な例が認められたので改めること。
9 注射
○注射について、不適切な例が認められたので改めること。注射の使用に当たっては、その必要性を十分に考慮した上で、適応、用法、用量等の医薬品医療機器等法上の承認事項を厳守して使用すること。
1 適応外使用
・ フェブリク錠
2 長期漫然投与(適宜効果判定が行われず漫然投薬)
・ セルシン注射液5mg
3 治療上の必要性がない、不明確な注射
・ 必要性に乏しい薬剤が点滴注射に使用されている。
4 その他
○注射において、症状・所見等に応じて適正に行われていない例が認められたので改めること。
○注射において、必要性、効果性及び結果・評価の記載に不備が認められたので改めること。
10 リハビリテーション
○疾患別リハビリテーションにおいて不適切な例が認められたので、適応を症状、所見に応じ、妥当適切に判断した上で施行し、漫然と治療することなく適宜効果判定を行うこと。
○疾患別リハビリテーションの実施に当たっては、医師は定期な機能検査等をもとに、その効果判定を行い、定められた様式に準じたリハビリテーション実施計画を作成する必要があることに留意し、リハビリテーションの開始時及びその後3か月に1回以上、患者に対して当該リハビリーション実施計画の内容を説明し、診療録にその要点を記載すること。
○疾患別リハビリテーションにおける実施計画書の作成について、不適切な例が認められたので改めること。
・ 実施計画書が作成されていない、記載内容が乏しい、又は記載されている内容が画一的である。
・ 実施計画書に関して患者等へ説明していない。
・ 実施計画書に患者、家族等の印又は署名がない。
○疾患別リハビリテーションの算定において、不適切な例が認められたので改めること。
・ 個人別の訓練記録に、機能訓練の内容の要点を記載していない、又は乏しい。
・ 診療録に機能訓練の開始時間及び終了時間の記載がない、又は画一的である。
・ 発症日の取扱いが誤っている。
・ 起算日が医学的に妥当ではない。
○リハビリテーション総合計画評価料の算定において、不適切な例が認められたので改めること。
・ リハビリテーション総合実施計画書の記載内容が乏しい。
・ リハビリテーション総合実施計画書を患者又は家族に交付していない。
・ リハビリテーション総合実施計画書が診療録に添付されていない。
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