医科の指導監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。
サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、個別指導と監査の対応業務を行っています。
個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。
弁護士鈴木が力を入れている医院法務に関するコラムです。
ここでは、近畿厚生局の医科の指導監査での、在宅患者診療・指導料、在宅療養指導管理料、在宅療養指導管理材料加算、在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料、検査、画像診断に関する代表的な指摘事項についてご説明を致します。 指摘事項は、近畿厚生局の公表資料「平成２７年度 個別指導（医科）における主な指摘事項」に基づいています。
厚生局の個別指導、監査に悩んでいる医師の方は、指導、監査に詳しい弁護士への速やかな相談を強くお勧めします。個別指導、監査においては、弁護士を立ち会わせるべきです。以下のコラムもご覧いただければ幸いです。
指導監査のコラム
１ 個別指導と監査の上手な対応法
在宅医療
在宅患者診療・指導料について
〇 往診料
・ 患家の求めに応じて患家に赴いたことが不明である。
・ 診療録に患家の求めの内容や患家からの連絡の態様、患家の求めのあった時刻等を診療録に記載する等の方法により、算定根拠を明確にされたい。特に、往診料の注１の加算のうち、夜間又は深夜の往診の加算（いわゆる夜間往診加算又は深夜往診加算）を算定するにあたっては、留意すること。
・ 定期的ないし計画的に患家に赴き診療を行った場合に算定している。
・ 特別養護老人ホームの入所者に対し特別の必要があって行う診療でないにもかかわらず、算定している。
・ 緊急往診加算について、算定要件を満たしていない（標榜時間外の往診）。
〇 在宅患者訪問診療料
・ 在宅での療養を行っている患者であって、疾病、傷病のために通院による療養が困難な者に対して定期的に訪問して診療を行った場合に算定できるものであること。
・ 当該患者又はその患者等の署名付きの訪問診療に係る同意書を作成していない、又は診療録に添付していない。
・ 訪問診療の計画及び診療内容の要点を診療録に記載していない又は記載が乏しい。
・ 訪問診療を行った日における当該医師の当該在宅患者に対する診療時間（開始時刻及び終了時刻）及び診療場所について診療録に記載していない。
〇 在宅時医学総合管理料
・ 総合的な在宅療養計画を作成し、その内容を患者、家族及びその看護に当たる者等に対して説明すること。
・ 在宅療養計画及び説明の要点等の診療録への記載内容が乏しい。
〇 在宅患者訪問看護・指導料
・ 訪問看護・指導計画を作成していない。訪問看護・指導計画は、看護及び指導の目標、実施すべき看護及び指導の内容並びに訪問頻度等を記載し、当該計画を少なくとも１月に１回は見直しを行うほか、患者の病状に変化があった場合には適宜見直す必要があること。
・ 医師が保健師、助産師、看護師又は准看護師に対して行った指示内容について、診療録に記載されていない。
〇 在宅患者訪問点滴注射管理指導料
・ 在宅中心静脈栄養法指導管理料又は在宅悪性腫瘍等患者指導管理料を算定した場合に算定している。
〇 訪問看護指示料及び特別訪問看護指示加算
・ 訪問看護指示書等の写しを診療録に添付していない。
・ 訪問看護を必要とする傷病名が診療録に記載されていない。
・ 訪問看護指示書の指示内容の記載が乏しい。
・ 訪問看護指示料は、在宅での療養を行っている患者であって、疾病、負傷のために通院による療養が困難な者に対して訪問看護指示書に有効期間（６月以内に限る。）を記載して、当該患者が選定する訪問看護ステーションに対して交付した場合に算定すること。
・ 訪問看護指示料について、疾病、傷病のために通院が困難な患者でないものに対して算定している。
〇 在宅患者緊急時等カンファレンス料
・ カンファレンスに参加した医療関係職種等の氏名、カンファレンスの要点、患者に行った指導の要点及びカンファレンスを行った日を診療録に記載すること。
在宅療養指導管理料について
〇 次の在宅療養指導管理料について、当該在宅療養を指示した根拠、指示事項、指導内容の要点を診療録に記載していない又は記載が乏しい。
・ 在宅自己注射指導管理料
・ 在宅酸素療法指導管理料
・ 在宅人工呼吸指導管理料
・ 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料
・ 在宅寝たきり患者処置指導管理料
在宅療養指導管理材料加算について
〇 血糖自己測定器加算
・ 自己測定の記録に基づいた指導を実施していない患者に対して算定している。
・ 血糖自己測定の回数の根拠を診療録に記載し明確にされたい。
・ 血糖自己測定器加算を算定した場合は診療報酬明細書の「摘要」欄に実際に測定した回数を記載すること。また、患者が１型糖尿病である場合は１型糖尿病であることを「摘要」欄に記載すること。
在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料について
〇 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料の算定において、理学療法士等の指導内容の要点及び指導に要した時間の記録が不十分である。
検査
検査項目の選択
〇 検査は、患者個々の症状・所見に応じて検査の項目を選択し、段階を踏み、セット検査を漫然と反復することなく、適切に行うこと。
検査の範囲
〇 検査項目、回数は治療方針に的確に反映させる範囲でなければならない。また、検査結果を適宜評価し、診療録にその要点を記載して治療に反映すること。
不適切な実施例
〇 検査について、次の不適切な実施例が認められた。
・ 段階を踏んでいない検査
・ 必要以上に実施回数の多い検査
① 生化学検査（Ⅰ）
② 内分泌学的検査
・ 健康診断として実施した検査
・ 医学的に必要性が乏しい検査
① 末梢血液像(自動機械法)
その他
〇 尿沈渣（鏡検法）
・ 尿中一般物質定性半定量検査もしくは尿中特殊物質定性定量検査において異常所見が認められた場合、又は診察の結果から実施の必要があると考えられる場合ではないにもかかわらず、実施している。
・ 検査結果を記録していない。
・ 検査の対象患者の診療を行っている保険医療機関内で実施しておらず、算定要件を満たしていない。
〇 腫瘍マーカー
・ 診察及び他の検査・画像診断等の結果から悪性腫瘍の患者であることが強く疑われる者以外の者に対して実施している。
・ 悪性腫瘍の診断確定又は転帰の決定までの間に２回以上実施している。
〇 呼吸心拍監視
・ 診療録に観察した呼吸曲線、心電曲線、心拍数の観察結果の要点の記載がない。
〇 経皮的動脈血酸素飽和度測定
・ 呼吸不全若しくは循環不全又は術後の患者であって、酸素吸入若しくは突発性難聴に対する酸素療法を現に行っているもの又は酸素吸入若しくは突発性難聴に対する酸素療法を行う必要があるものに行った場合及び静脈麻酔、硬膜外麻酔又は脊椎麻酔を実施中の患者に行った場合に算定できるものであること。
〇 コンタクトレンズ検査料
・ コンタクトレンズ装用を目的に受診した患者（既装用者の場合を含む。）に対して眼科学的検査を行った場合は、コンタクトレンズ検査料を算定すること。
〇 血液採取
・ 糖試験紙法にかかる血液採取についてＤ４００血液採取の「２ その他」で算定すべきところ、「１ 静脈」で算定している。
〇 その他
・ 外来迅速検体検査加算について、別に厚生労働大臣が定める検体検査の結果を検査実施日のうちに説明した上で文書により情報提供し、当該検査の結果に基づく診療が行われた場合に算定すること。
・ 脈波図により脈波伝達速度を求めて行う検査については、血管伸展性検査により算定すること。
画像診断
〇 必要以上に実施回数の多い画像診断
・ 胸部単純エックス線撮影
・ 単純エックス線及び頭部ＣＴ撮影
〇 その他
・ 単純撮影（胸部・腹部・骨折部等）の写真診断について、診療録に診断内容を記載していない。
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