本文へスキップ

厚生局の医科個別指導での、診療録、傷病名、基本診療料などの指摘事項です。指導、監査に臨む医師の方は、個別指導、監査に強い弁護士にご相談下さい。

電話での相談のご予約・お問い合わせはTEL.03-5925-8437
平日:9時30分〜17時30分

近畿厚生局の個別指導(11):厚生局の医科の指導での指摘事項

個別指導と監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。


ここでは、近畿厚生局の医科の個別指導での、診療に係る指摘事項をご説明します。 指摘事項は、近畿厚生局の公表資料「平成30年度 個別指導(医科)における主な指摘事項」に基づいています。

厚生局の個別指導(医科)に臨む医師の方は、指導監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。個別指導には、弁護士を立ち会わせるべきです。詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。

 【コラム】個別指導と監査の上手な対応法


1 目次


T 診療に係る事項

1 診療録等
2 傷病名
3 基本診療料等
4 医学管理等
5 在宅医療
6 検査、画像診断、病理診断
7 投薬、注射、薬剤料等


2 診療に係る事項


 1 診療録等

(1)診療録への必要事項の記載について、次の不適切な例が認められたので改めること。
 診療録は、保険請求の根拠となるものなので、医師は診療の都度、遅滞なく必要事項の記載を十分に行うこと(特に、症状、所見、治療計画等について記載内容の充実を図ること)。

@ 診療録について
 ア 医師による日々の診療内容の記載が極めて乏しい。
 イ 医師の診察に関する記載がなく、投薬等の治療が行われている。
 ウ 診療録の記載がなければ医師法で禁止されている無診察治療とも誤解されかねないので改めること。
A 診療録第1面(療担規則様式第一号(一)の1)及び診療報酬明細書に記載している傷病名について、その傷病を診断した経緯又は根拠について診療録への記載がない又は不十分である。
B 診療録第3面(療担規則様式第一号(一)の3)に患者から徴収する一部負担金の徴収金額が適正に記載されていない。

(2)紙媒体の記録について、次の不適切な例が認められたので改めること。
@ 記載内容が判読できない。
A 時系列で診療録の記載がなされていない。
B 鉛筆で記載している。診療録の記載はインク又はボールペンを用いて行うこと。
C 修正液、修正テープ、塗りつぶし又は貼紙により修正しているため修正前の記載内容が判別できない。修正は二重線により行うこと。
D 診療録について、完結の日から5年経過していないにもかかわらず処分している。また、療養の給付の担当に関する帳簿及び書類その他の記録は、完結の日から3年間保存すること。
E 複数の保険医が一人の患者の診療に当たっている場合において、署名又は記名押印が診療の都度なされていないため、診療の責任の所在が明らかでない。

(3)診療録について、次の不適切な事項が認められたので改めること。
@ 保険診療の診療録と保険外診療(自由診療、予防接種、健康診断等)の診療録とを区別して管理していない。
A 自家診療について、診療録の記載内容の充実を図ること。

 2 傷病名

(1)傷病名の記載又は入力について、次の不適切な例が認められたので改めること。
@ 診療録と診療報酬明細書の記載が一致しない。
A 「傷病名」欄への記載は、1行に1傷病名を記載すること。
B 傷病名の開始日、終了日又は転帰の記載がない。
C 傷病名の記載が一部漏れている。
D 主病の指定が適切に行われていない。
E 事務担当者が傷病名を記載している。傷病名は、必ず医師が記載すること。
F 診療録第1面に記載する傷病名は簡略化せず適切に記載すること。

(2)傷病名の内容について、次の不適切な例が認められたので改めること。傷病名は診療録への必要記載事項であるので、正確に記載すること。
@ 医学的な診断根拠がない又は乏しい傷病名
A 医学的に妥当とは考えられない傷病名
B 実際には「疑い」の傷病名であるにもかかわらず、確定傷病名として記載しているもの
C 詳細な記載(急性・慢性、左右の別、部位、詳細な傷病)がない傷病名
D 単なる状態や傷病名ではない事項を傷病名欄に記載している。
E 主傷病は、当該保険医療機関における診療の中心となっている疾患であることに留意して判断すること。

(3)検査、投薬等の査定を防ぐ目的で付けられた医学的な診断根拠のない傷病名(いわゆるレセプト病名)が認められた。レセプト病名を付けて保険請求することは、不適切なので改めること。診療報酬明細書の請求内容を説明する上で傷病名のみでは不十分と考えられる場合には、摘要欄に記載するか、別に症状詳記(病状説明)を作成し診療報酬明細書に添付すること。
@ ガスター注射液20rの投与に際して付与した上部消化管出血

(4)傷病名を適切に整理していない例が認められた。傷病名には正しい転帰を付して、適宜整理すること。
@ 整理されていないために傷病名数が多数となっている。
A 長期にわたる「疑い」の傷病名
B 長期にわたる急性疾患等の傷病名
C 重複して付与している、又は類似の傷病名
D その他、傷病名の整理が不適切な例
 ア 傷病名の転帰について、治癒とするべきところ中止としている。

(5)傷病名については、原則として、厚生労働省通知「電子情報処理組織の使用による費用の請求に関して厚生労働大臣が定める事項及び方式並びに光ディスク等を用いた費用の請求に関して厚生労働大臣が定める事項、方式及び規格について」(平成28年4月28日付保発0428第14号)別添3に規定する傷病名を用いること。また、この別添3の傷病名と同一の傷病でありながら名称が異なる傷病名については、「傷病名コードの統一の推進について」(平成26年3月26日付厚生労働省保険局医療課事務連絡)に取りまとめられているので、これを参照し、原則として、傷病名コードに記載されたものを用いること。


 3 基本診療料

(1)初・再診料について、次の不適切な例が認められたので改めること。
@ 初診料・再診料
 ア 現に診療中の患者に対して新たな傷病の診断を行った際に、初診料を算定している。
 イ 慢性疾患等明らかに同一の疾病又は傷病の診療を行った場合に、初診料を算定している。
 ウ 患者の傷病について医学的に初診といわれる診療行為でないにもかかわらず初診料を算定している。
 エ 自他覚症状がなく健康診断を目的とする受診により疾患が発見された患者について、当該保険医が、特に治療の必要性を認め治療を開始したにもかかわらず、初診料を算定している。
 オ 初診又は再診に附随する一連の行為で来院したものについて再診料を算定している。
 カ 電話等による再診について、再診以後、当該患者又はその看護に当たっている者から直接又は間接に、治療上の意見を求められて、必要な指示を行った場合に該当しないものについて算定している。
 キ 電話等を通した再診に係る再診料の算定においては、患者又はその看護にあたっている者からの医学的な意見の求めに対し、治療上必要な適切な指示を行うこと。
 ク 同一日の再診について、再診に係る根拠の診療録への記載を充実させること。
 ケ 同一日に他の傷病について、患者の意思に基づき、別の診療科を再診として受診した場合において、1つ目の診療科で診療を受けた疾病又は診療継続中の疾病と同一の疾病又は互いに関連のある疾病について、2つ目の診療科を受診した患者に対して再診料の注3に掲げる所定点数を算定している。
A 加算等
 ア 時間外加算
 ・ 常態として診療応需の態勢をとっている時間に算定している。
 イ 休日加算 ・ 受診日が該当しない。
 ・ 急病等やむを得ない理由により受診した患者等以外の患者に算定している。
 ウ 夜間・早朝等加算
 ・ 診療録等に受付時間を記録するなどにより算定要件を満たしていることを明確にされたい。
 エ 外来管理加算
 ・ 患者からの聴取事項や診察所見の要点について診療録への記載がない又は不十分である。
 ・ やむを得ない事情で看護に当たっている者から症状を聞いて薬剤を投与した場合であるにもかかわらず算定している。
 ・ 処置を行っているにもかかわらず、処置料を算定せず、外来管理加算を算定している。
 ・ 電話再診を行った場合に算定している。
 オ 地域包括診療加算[1・2]
 ・ 初回算定時に患者の署名付の同意書を作成していない。
 カ 認知症地域包括診療加算[1・2]
 ・ 1処方につき5種類を超える内服薬の投薬を行った患者に対して算定している。

(2)入院料について、次の不適切な例が認められたので改めること。
@ 入院診療計画
 ア 説明に用いた文書について、参考様式で示している以下の項目についての記載がな い。
 ・ 特別な栄養管理の必要性
 ・ その他(看護計画、リハビリテーション等の計画)
 イ 説明に用いた文書について、記載内容が不適切である。
 ・ 記載内容が画一的であり、個々の患者の病状に応じたものとなっていない。
 ウ 医師又は看護師のみが計画を策定し、関係職種が共同して策定していない。
A 栄養管理体制
 ア 栄養管理計画書に必要事項(栄養状態の評価)の記載が不十分である。

(3)入院基本料について、次の不適切な例が認められたので改めること。
@ [ 療養病棟 ・ 有床診療所療養病床 ]入院基本料
 ア 医療区分に係る評価が不適切である。
 ・ 動脈血酸素飽和度、血圧、心電図、呼吸等のバイタルサインが、少なくとも4時間以内の間隔で観察されていないにもかかわらず、「医師及び看護職員により、常時、監視及び管理を実施している状態」に該当するものとして取り扱っている。
 ・ 日数制限がある項目(24時間持続して点滴を実施している状態)について制限日数を超えて該当するものとして取り扱っている。

(4)入院基本料等加算について、次の不適切な例が認められたので改めること。
@ 救急医療管理加算[ 1 ・ 2 ]
 ア 加算対象の状態ではない患者に対して算定している。
A 超重症児(者)入院診療加算
 ア 準超重症児(者)の状態の患者に算定している。
B 入退院支援加算2
 ア 退院困難な要因を有していない患者に対して算定している。

 4 医学管理等

(1)特定疾患療養管理料について、次の不適切な例が認められたので改めること。
@ 治療計画に基づく、服薬、運動、栄養等の療養上の管理内容の要点について診療録への記載がない、画一的である又は不十分である。
A 算定対象外である主病、主病でない疾患又は全身的な医学管理を行っていない疾患について算定している。
B 厚生労働大臣が別に定める疾患を主病とする者に対し、実際に主病を中心とした療養上必要な管理が行われていない場合又は実態的に主病に対する治療が行われていない場合は算定できないので留意すること。なお、主病とは、当該患者の全身的な医学管理の中心となっている特定疾患をいうものであること。

(2)特定疾患治療管理料 について、次の不適切な例が認められたので改めること。
@ ウイルス疾患指導料[ 1 ・ 2 ]
 ア 指導内容の要点について診療録への記載がない又は不十分である。
A 特定薬剤治療管理料[ 1 ・ 2 ]
 ア 薬剤の血中濃度又は治療計画の要点について診療録への記載がない又は不十分である。
 イ 対象患者(ジキタリス製剤又は抗てんかん剤を投与している患者、免疫抑制剤を投与している臓器移植後の患者、その他厚生労働大臣が定める患者)以外の患者に対して算定している。
 ウ 対象疾患に対して特定薬剤を使用しないで算定している。
B 悪性腫瘍特異物質治療管理料
 ア 悪性腫瘍であると既に確定診断した患者以外の者に対して算定している。(悪性腫瘍を疑って実施した腫瘍マーカー検査は、本来の検査の項目で算定すること。)
 イ 腫瘍マーカー検査の結果又は治療計画の要点について診療録への記載がない又は不十分である ]。
 ウ 初回月ではないにもかかわらず、初回月加算を算定している。
C 小児科療養指導料
 ア 指導内容の要点について診療録への記載が不十分である。
D てんかん指導料
 ア 診療計画又は診療内容の要点について診療録への記載がない又は不十分である。
E 難病外来指導管理料
 ア 算定対象外である主病について算定している。
 イ 診療計画又は診療内容の要点について診療録への記載がない又は不十分である。
F 皮膚科特定疾患指導管理料[ (T) ・ (U) ]
 ア 算定対象外である主病について算定している。
 イ 診療計画又は指導内容の要点について診療録への記載がない、不十分である又は画一的である。
G [ 外来 ・ 入院 ・ 集団 ]栄養食事指導料
 ア 食事計画案等を交付していない。
 イ 栄養指導記録を作成していない。
 ウ 診療録に医師が管理栄養士に対して指示した事項の記載がない又は不十分である。
H 慢性維持透析患者外来医学管理料
 ア 特定の検査結果又は計画的な治療管理の要点についての診療録への記載がない又は不十分である。
I 喘息治療管理料
 ア ピークフローメーターを用いた計画的な治療管理を行っていない場合に算定している。
J 慢性疼痛疾患管理料
 ア マッサージ又は器具等による療法を行っていないにもかかわらず算定している。
K 糖尿病合併症管理料
 ア 専任の看護師に対して専任の常勤医師が行った指示事項についての診療録への記載がない又は不十分である。
 イ 糖尿病足病変ハイリスク要因に関する評価結果について、診療録又は療養指導記録への記載がない又は不十分である。
 ウ 指導時間が30分以上であることが診療記録上確認できない。
L 糖尿病透析予防指導管理料
 ア 看護師(又は保健師)及び管理栄養士に対して行った指示事項についての診療録への記載が不十分である。

(3)乳幼児育児栄養指導料について、次の不適切な例が認められたので改めること。
@ 指導の要点について診療録への記載が不十分である。

(4)介護支援等連携指導料について、次の不適切な例が認められたので改めること。
@ ケアプランの写しを診療録に添付していない。

(5)退院時リハビリテーション指導料について、次の不適切な例が認められたので改めること。
@ 指導又は指示内容の要点について診療録等への記載がない。

(6)診療情報提供料(T)について、次の不適切な例が認められたので改めること。
@ 紹介元医療機関への受診行動を伴わない患者紹介の返事について算定している。
A 他の医療機関から診療情報の提供を依頼され、それに回答したものについて算定して いる。
B 紹介先の機関名を特定していない文書で算定している。
C 交付した文書の写し(薬局に対しては他に処方箋の写し)を診療録に添付していない。
D 特別の関係にある医療機関を紹介先として交付した文書について算定している。
E 告示・通知で定められた紹介先以外の機関(特別養護老人ホーム等)に対し、診療情報を提供した場合に算定している。
F 退院時診療情報等添付加算
 ア 添付した写し又はその内容を診療録に貼付又は記載していない。

(7)薬剤情報提供料について、次の不適切な例が認められたので改めること。
@ 診療録に薬剤情報を提供した旨の記載がない。
A 処方の変更がないにもかかわらず月2回以上算定している。

(8)療養費同意書交付料について、次の不適切な例が認められたので改めること。
@ はり・きゅうの施術に係る療養費の支給対象となる疾病であるか、適切に判断すること。
 ア 療養の給付を行うことが困難であると認められない患者に対して同意書等を交付し算定している。
 イ 専門外にわたるものであるという理由によって、みだりに同意を与えている。

(9)退院時薬剤情報管理指導料について、次の不適切な例が認められたので改めること。
@ 患者に対して提供した情報又は指導した内容の要点についての診療録(薬剤管理指導料を算定している場合は、薬剤管理指導記録で可)への記載が不十分である。

 5 在宅医療

(1)在宅患者診療・指導料について、次の不適切な例が認められたので改めること。
@ 往診料
 ア 定期的ないし計画的に患家又は他の保険医療機関に赴いて診療をしたものについて算定している。
 イ 患家の求めに応じて患家に赴いたことが不明である。
 ウ 緊急往診加算
  ・ 標榜時間外に行った往診について算定している。
A 在宅患者訪問診療料 [ (T) ・ (U) ]
 ア 当該患者又はその家族等の署名付の訪問診療に係る同意書を作成していない又は診療録に添付していない。
 イ 診療録への訪問診療の計画又は診療内容の要点の記載がない又は不十分である。
 ウ 訪問診療を行った日における当該医師の当該在宅患者に対する診療時間(開始時刻及び終了時刻)、又は診療場所について診療録に記載していない。
 エ 施設入居時等医学総合管理料の対象となる施設において療養を行っている患者以外の患者について、誤って「同一建物居住者以外の場合」として一律に算定している。
 オ 複数の同一建物居住者に対して保険医が同一日に訪問診療を行っている場合に、誤って「同一建物居住者以外の場合」で算定している。
B 在宅時医学総合管理料
 ア 診療録への在宅療養計画又は説明の要点等の記載がない又は不十分である。
 イ 当該建築物において、当該保険医療機関が在宅医学管理を行う患者数が、当該建築物の戸数の10%以下の場合又は当該建築物の戸数が20戸未満であって、当該保険医療機関が在宅医学管理を行う患者が2人以下の場合以外の場合に誤って「単一建物診療患者が1人の場合」で算定している。
 ウ サービス付き高齢者向け住宅の入居者に対して誤って算定している。
 エ 頻回訪問加算
  ・ 別に厚生労働大臣が定める状態にない患者について、算定している。
C 施設入居時等医学総合管理料
 ア 診療録への在宅療養計画又は説明の要点等の記載がない又は不十分である。
 イ 当該建築物において、当該保険医療機関が在宅医学管理を行う患者数が、当該建築物の戸数の10%以下の場合又は当該建築物の戸数が20戸未満であって、当該保険医療機関が在宅医学管理を行う患者が2人以下の場合以外の場合に誤って「単一建物診療患者が1人の場合」で算定している。
 ウ 頻回訪問加算
  ・ 別に厚生労働大臣が定める状態にない患者について、算定している。
D 在宅がん医療総合診療料
 ア 患者の同意を得ていない又は得たことが明らかではない。
 イ 訪問診療又は訪問看護を行う日が合わせて週4日以上行っていないにもかかわらず誤って算定している。
E 在宅患者訪問看護・指導料
 ア 訪問看護・指導を実施した患者氏名、訪問場所、訪問時間(開始時刻及び終了時刻)及び訪問人数等について記録していない。
 イ 急性増悪等により一時的に週4回以上の頻回の訪問看護・指導を行う必要を認めた患者について、訪問看護ステーションにおいて訪問看護療養費を算定した日に誤って算定している。

F 訪問看護指示料
 ア 訪問看護指示書の記載が不十分である。
 イ 診療に基づかない訪問看護指示書を交付している。
 ウ 訪問看護指示書等の写しを診療録に添付していない。

(2)在宅療養指導管理料について、次の不適切な例が認められたので改めること。
@ 在宅自己注射指導管理料
 ア 当該在宅療養を指示した根拠、指示事項又は指導内容の要点について診療録への記載がない、不適切である又は不十分である。
A 次の在宅療養指導管理料について当該在宅療養を指示した根拠、指示事項又は指導内容の要点の診療録への記載がない又は不十分である。
 ア 在宅酸素療法指導管理料
 イ 在宅成分栄養経管栄養法指導管理料
 ウ 在宅自己導尿指導管理料
 エ 在宅人工呼吸指導管理料
 オ 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料
 カ 在宅寝たきり患者処置指導管理料

(3)在宅療養指導管理材料加算について、次の不適切な例が認められたので改めること。
@ 血糖自己測定器加算
 ア 血糖自己測定値に基づいた指導を実施していない患者に対して算定している。
 イ 血糖自己測定の回数の根拠が明確ではない。
A 注入器用注射針加算
 ア 針付一体型の製剤を処方したものについて、算定している。

 6 検査、画像診断、病理診断

(1)検査について、次の不適切な実施例が認められたので改めること。
@ 医学的に必要性が乏しい検査
 ア 結果が治療に反映されていない検査
  ・ 検体検査(尿・糞便、血液等)ABO血液型
  ・Rh(D)血液型(輸血の可能性の全くない患者に対して実施している例)
A 段階を踏んでいない検査
 ア 検査は、患者個々の症状・所見に応じて検査の項目を選択し、段階を踏み、セット検査を漫然と反復することなく、適切に行うこと。
B 重複とみなされる検査
C 必要以上に実施回数の多い検査
 ア 検査項目、回数は治療方針に的確に反映させる範囲でなければならない。また、検査結果を適宜評価し、診療録にその要点を記載して治療に反映すること。
D 健康診断として実施した検査

(2)その他不適切に実施した検査
@ 腫瘍マーカー検査
 ア 診察及び他の検査・画像診断等の結果から悪性腫瘍の患者であることが強く疑われる者以外の者に対して実施している。
A 呼吸心拍監視
 ア 診療録に観察した呼吸曲線、心電曲線、心拍数のそれぞれの観察結果の要点の記載がない又は不十分である。
B 経皮的動脈血酸素飽和度測定
 ア 酸素吸入を行っていない又は行う必要のない患者、若しくはその他の要件にも該当しない患者に対して算定している。
 イ 呼吸不全若しくは循環不全又は術後の患者であって、酸素吸入若しくは突発性難聴に対する酸素療法を現に行っているもの又は酸素吸入若しくは突発性難聴に対する酸素療法を行う必要があるものに行った場合及び静脈麻酔、硬膜外麻酔又は脊椎麻酔を実施中の患者に行った場合に算定できるものであること。
C 算定要件を満たさない検査の実施例
 ア 時間外緊急院内検査加算について、当該保険医療機関内において検体検査を行った場合に算定すること。
 イ 外来迅速検体検査加算について、当日中に説明又は文書による情報提供を行っていない。

(3)画像診断について、次の不適切な例が認められたので改めること。
@ 診療録に診断内容の記載がない又は不十分である。

(4)病理診断について、次の不適切な例が認められたので改めること。
@ 病理判断料
 ア 診療録に病理学的検査の結果に基づく病理判断の要点の記載がない。

 7 投薬、注射、薬剤料等

(1)投薬・注射、薬剤料等について、以下の不適切な例が認められた。保険診療において薬剤を使用するに当たっては、医薬品医療機器等法承認事項を遵守すること。
@ 次の禁忌投与の例が認められたので改めること。
 ア 消化性潰瘍の患者に対するロキソプロフェンナトリウム錠の投与
A 次の適応外投与の例が認められたので改めること。
 ア 抗生物質を投与していない患者に対する耐性乳酸菌製剤(ビオフェルミンR錠)の投与
B 次の用法外投与の例が認められたので改めること。
 ア ネブライザーを用いて投与しているバニマイシン注射液100r
 イ 1日1回経口投与を、1日2回としているタナトリル錠5、アムロジンOD錠2.5r

(2)薬剤の投与について、次の不適切な例が認められたので改めること。
@ ビタミン剤の投与について
 ア ビタミン剤の投与が必要かつ有効と判断した趣旨が具体的に診療録及び診療報酬明細書に記載されていない。
 イ 疾患又は症状の原因がビタミンの欠乏又は代謝障害であることが推定されるもの以外に対してビタミン剤を投与している。

(3)投薬・注射について、次の不適切な例が認められたので改めること。
@ 処方箋料
 ア 処方箋を患者又は現にその看護に当たっている者以外の者に対して交付している。
 イ 7種類以上の内服薬の投薬を行っている患者について、区分を誤って算定している。
A 院外処方箋
 ア 様式が定められたもの又はこれに準ずるものとなっていない。
 イ 同一の患者に対して、同一の診療日に、一部の薬剤を院内において投薬し、他の薬剤を院外処方箋により投薬している。
B 調剤技術基本料について、薬剤師が常時勤務していないにもかかわらず算定している。
C 注射実施料
 ア 点滴注射について、手術に際してのルート確保用として実施したものを算定している。
 イ 点滴注射について、訪問看護において看護師が実施したものを算定している。
 ウ 中心静脈栄養用植込型カテーテルからの注射について中心静脈注射で算定している。
 エ 精密持続点滴注射加算
  ・ 1時間に30mLより速い速度で注入しているものについて算定している。
D 注射
 ア 経口投与が可能であるものについて、注射により薬剤を投与している。

(4)[ 処方料 ・処方箋料 ]特定疾患処方管理加算
@ 算定対象の疾患が主病でない患者について算定している。

(5)[ 処方料 ・ 処方箋料 ]長期投薬加算
@ 算定対象の疾患が主病でない患者について算定している。
A 算定対象となる主病以外の疾患に係る薬剤を28日以上処方して算定している。


近畿厚生局の個別指導に臨む医師の方は、お電話下さい。個別指導への対応を弁護士がアドバイスし、指導に同席します。

個別指導、監査のコラム


近畿厚生局の指導監査の弁護士のコラム一覧です。
個別指導、監査の際に、また日常の医院運営、臨床にご活用下さい。

 個別指導の指摘事項のコラム

平成27年度
1  近畿厚生局の個別指導(1):診療録、傷病名、診療報酬明細書
2  近畿厚生局の個別指導(2):基本診療料、医学管理
3  近畿厚生局の個別指導(3):在宅医療、検査、画像診断
4  近畿厚生局の個別指導(4):投薬、注射、手術、麻酔、院内掲示

平成28年度

5  近畿厚生局の個別指導(5):診療録、傷病名
6  近畿厚生局の個別指導(6):基本診療料、医学管理
7  近畿厚生局の個別指導(7):在宅医療、検査、画像診断
8  近畿厚生局の個別指導(8):投薬、注射、リハビリテーション

平成29年度
9  近畿厚生局の個別指導(9):診療に関する指摘事項
10 近畿厚生局の個別指導(10):請求事務に関する指摘事項

平成30年度
11 近畿厚生局の個別指導(11):医科の診療の指摘事項
12 近畿厚生局の個別指導(12):管理、請求事務の指摘事項

 保険医取消の実例紹介のコラム

1  保険医取消の実例:後発医薬品を先発医薬品とする不正請求
2  保険医取消の実例:診療報酬不正請求による逮捕と保険医取消
3  保険医取消の実例:検査結果の廃棄、保険適用外診療の不正請求
4  保険医取消の実例:死亡患者の診療報酬請求、コンタクトの不正
5  保険医取消の実例:鍼灸院や整骨院との不正請求、診療録の不作成
6  保険医取消の実例:監査の不出頭、カルテの改ざんによる取消処分
7  保険医取消の実例:無診察処方、無診察投薬による取消処分
8  保険医取消の実例:個別指導中の医師の入院と指導の延期
9  保険医取消の実例:個別指導の中断、中止、監査での取り消し
10 保険医取消の実例:架空請求の情報提供での保険医の取り消し
11 保険医取消の実例:廃止した医院への個別指導を経ない監査
12 保険医取消の実例:患者の情報提供による個別指導
13 保険医取消の実例:医師の名義貸しでの個別指導、監査
14 保険医取消の実例:無診察での不正請求
15 保険医取消の実例:無診察診療での個別指導
16 保険医取消の実例:再指導での個別指導からの監査
17 保険医取消の実例:刑事事件の有罪判決での保険医取消処分
18 保険医取消の実例:訪問看護ステーションへの個別指導
19 保険医取消の実例:子供の診療での不正請求
20 保険医取消の実例:14日後付け処方せんでの個別指導

SUNBELL LAW OFFICE個別指導

サンベル法律事務所
〒160-0004
東京都新宿区四谷1-18
オオノヤビル7階
TEL 03-5925-8437
FAX 03-5925-8438