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厚生労働省の医科の保険診療の共同指導(個別指導)についてご説明します。個別指導にお悩みの医師の方は、指導監査に強い弁護士にご相談下さい。

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共同指導の指摘事項(7):医科保険診療の個別指導

医科の個別指導に強い、弁護士の鈴木陽介です。


弁護士鈴木が力を入れている指導監査のコラムです。

ここでは、厚生労働省による医科の医療機関への共同指導・特定共同指導(厚生局ではなく厚生労働省が主導する保健個別指導)での、保険診療での指摘事項(施設基準、医療情報システム、診療、薬剤、看護・食事、管理・請求事務、掲示・届出、包括評価)についてご説明します。 内容は、厚生労働省の公表資料「平成30年度 特定共同指導・共同指導(医科)における主な指摘事項」に基づいており、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。

個別指導に望む医師の方は、指導監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。個別指導には、弁護士を立ち会わせるべきです。以下のコラムもご覧いただければ幸いです。

 指導監査のコラム

1  個別指導と監査の上手な対応法

平成30年度 特定共同指導・共同指導(医科)指摘事項

 目次

1 施設基準関連
2 医療情報システム関連
3 診療関連
4 薬剤部門関連
5 看護・食事関連
6 管理・請求事務関連
7 掲示・届出関連
8 包括評価関連


 1 施設基準関連

看護職員夜間配置加算
・看護職員夜間12対1配置加算について、各病棟における夜勤を行う看護職員の数について、3人以上の基準を満たしていない。

入退院支援加算
・入退院支援加算1について、入退院支援部門に専従の看護師又は専従の社会福祉士を1名以上配置していない。

 2 医療情報システム関連

医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第5版関連
・職種ごとのアクセス権限の範囲設定が不適切である。
・端末から離席する際、他の者による入力ができないよう、クリアスクリーン等による防止策が講じられていない。

 3 診療関連

診療録等
・医師による日々の診療内容の記載が極めて乏しい。

傷病名
・医学的な診断根拠のない「レセプト病名」を付与している。
(必要に応じて摘要欄の記載、症状詳記の記載を行うこと。)
・傷病名を適切に整理していない。
(重複して付与している等。)

基本診療料等
・入院診療計画書の参考様式で示されている項目の一部の記載がない。
・入院診療計画書の記載内容が不適切である。
(「特別な栄養管理の必要性」があるにもかかわらず、「なし」になっている、「その他」の記載内容が画一的であり、個々の患者の病状に応じたものとなっていない等)
・入院診療計画書について、必要に応じて関係職種が共同して作成していない。
・医療安全管理のための院内報告制度において、医師のインシデント・アクシデント報告が適切に運用されていない。
・褥瘡対策に係る専任の医師が褥瘡対策の診療計画の評価を行っていない。
・栄養管理計画を作成した患者について、必要に応じた計画の見直しが不十分である。
・臨床研修病院入院診療加算について、研修医の診療録の記載に係る指導医の指導及び確認がない。
・救急医療管理加算(1・2)について、加算対象となる患者の評価が不適切である。
・総合評価加算について、総合的な機能評価の結果について説明した内容の診療録への記載がない。
・退院支援加算(入退院支援加算)について、退院先を診療録に記載していない。

医学管理等
・治療計画、指導内容の要点等の必要記載事項を診療録に記載していない。
(特定疾患療養管理料、特定薬剤治療管理料、悪性腫瘍特異物質治療管理料、てんかん指導料、難病外来指導管理料、がん性疼痛緩和指導管理料、リンパ浮腫指導管理料、介護支援等連携指導料等)
・悪性腫瘍特異物質治療管理料について、悪性腫瘍であると既に確定診断した患者以外の者に対して算定している。
・肺血栓塞栓症予防管理料について、肺血栓塞栓症を発症する危険性について評価していない。
・診療情報提供料(T)について、受診行動を伴わない、紹介元医療機関への患者紹介の返事について算定している。
・診療情報提供料(T)の退院時診療状況添付加算について、添付した情報の写し又はその内容を診療録に貼付又は記載していない。

在宅医療
・在宅療養指導管理料について、指示した根拠、指示事項又は指導内容の要点を診療録に記載していない。
(在宅自己注射指導管理料、在宅自己腹膜灌流指導管理料、在宅酸素療法指導管理料、在宅成分栄養経管栄養法指導管理料、在宅人工呼吸指導管理料、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料等)

検査・画像診断・病理診断
・必要性の乏しい検査を実施している。
・段階を踏んでいない検査:(例)尿中一般物質定性半定量検査もしくは尿中特殊物質定性定量検査において異常所見が認められた場合、又は診察の結果から実施の必要があると考えられる場合ではないにもかかわらず、尿沈渣(鏡検法又はフローサイトメトリー法)を実施している。
・必要以上に実施回数の多い検査:(例)同一患者に2回以上実施しているABO血液型・Rh(D)血液型
・呼吸心拍監視について、観察した呼吸曲線、心電曲線、心拍数の観察結果の要点を診療録に記載していない。
・経皮的動脈血酸素飽和度測定について、酸素吸入を行っていない患者、又はその他の要件にも該当しない患者に対して算定している。
・地方厚生(支)局長に届け出た、専ら画像診断を担当する常勤の医師以外の医師が読影したものについて、画像診断管理加算(1・2・3)を算定している。
・病理診断管理加算(1・2)について、病理診断を専ら担当する常勤の医師以外の医師が病理診断を行っている。
・病理判断料について、病理学的検査の結果に基づく病理判断の要点を診療録に記載していない。

投薬・注射、薬剤料等
・用法外投与を行っている。
・ビタミン製剤について、必要性を診療録及び診療報酬明細書に記載していない。
・外来化学療法加算について、抗悪性腫瘍剤等による注射の必要性等について、文書で説明し同意を得ていない。

リハビリテーション
・開始時又は3か月毎の実施計画の説明の要点を診療録に記載していない。
・訓練の開始時刻及び終了時刻の記載が画一的である。
・疾患別リハビリテーションについて、医学的に最も適当な区分とは考えられない区分で算定している。
・リハビリテーション総合計画評価料について、リハビリテーションが開始されてから評価ができる期間に達しているとは考え難い場合で算定している。

精神科専門療法
・入院精神療法(T)、通院・在宅精神療法について、当該診療に要した時間を診療録に記載していない。

手術・輸血
・本来算定すべき術式と異なる術式で算定している。
・手術の説明について、説明した内容に関し、文書で交付していない、又は診療録に添付していない。
・術中術後自己血回収術について、出血量が600ml未満であるにもかかわらず算定している。

麻酔
・麻酔管理料(T)について、地方厚生(支)局長に届け出た常勤の麻酔科標榜医以外の医師が麻酔・術前後の診察を行ったものについて算定している。
・麻酔管理料(U)について、麻酔を担当する医師が麻酔前後の診察を行っていないものについて算定している。
・麻酔管理料(T・U)について、麻酔前後の診察等の内容を診療録等に記載していない。

 4 薬剤部門関連

薬剤管理指導料
・薬剤管理指導記録に患者への指導事項を記載していない。
・麻酔管理指導加算について、麻酔に係る患者への指導事項を記載していない。
・薬剤管理指導料1について、特に安全管理が必要な医薬品に該当しない医薬品について算定している。

退院時薬剤情報管理指導料
・指導した内容の要点を診療録若しくは薬剤管理指導記録に記載していない。

 5 看護・食事関連

・看護職員の勤務時間について、計算方法が誤っている。
(研修・会議等に参加している時間を病棟勤務の時間に算入している。等)
・特別食に該当しない食事に対して特別食加算を算定している。
・特別食を提供している患者の病態が算定要件を満たしていない。

 6 管理・請求事務関連

・診療報酬明細書の摘要欄の記載が不適切ある。
(実際とは異なる算定理由を記載している。)
・外来診療料について、同日に、同一又は互いに関連のある疾病で受診した場合に算定している。
・入院基本料等加算のうち、起算日が入院期間通算によるもの(患者サポート体制加算、総合評価加算、入退院支援加算等)について、入院期間が通算される再入院時にも算定している。
・観血的動脈圧測定の回路からの血液採取を動脈血採取として算定している。
・医師が診断していない細胞診について、細胞診断料及び病理診断管理加算(1・2)(細胞診断)を算定している。
・疾患別リハビリテーションの早期リハビリテーション加算及び初期加算について、誤った起算日に基づいて算定している。
・24時間以上体内に留置していない膀胱留置用ディスポーザブルカテーテル等について算定している。

 7 提示・届出関連

・施設基準に関する事項の掲示が誤っている。
・明細書の発行状況に関する事項の掲示について、一部負担金等の支払いがない患者に関する記載がない。
・届出事項の変更が速やかに行われていない。
(保険医の異動、施設基準届出の従事者等)

 8 包括評価関連

診断群分類及び傷病名
・「最も医療資源を投入した傷病名」(ICD-10傷病名)の選択が医学的に妥当ではない。
・「最も医療資源を投入した傷病名」(ICD-10傷病名)が実際に医療資源を最も投入した傷病名と異なっている。

包括評価用診療報酬明細書
・「転帰」の選択が不適切である。
・「傷病情報」欄の記載が不適切である。

その他
・術後疼痛に対して使用した薬剤(フルルビプロフェンアキセチル注射液等)を出来高で算定している。
・術後疼痛に対する注射を実施するために使用した特定保険医療材料(携帯型ディスポーザブルPCA用装置)及び薬剤(フェンタニル注射液)を出来高で算定している。


共同指導・個別指導に臨む医師の方は、お電話下さい。個別指導への対応方法をアドバイスし、弁護士が指導に同席します。


指導監査のコラム


指導監査に関するコラムです。
個別指導、監査の際に、また日常の医院運営にご活用下さい。

 共同指導の指摘事項のコラム

平成27年度
1  共同指導の指摘事項(1):施設基準、医療情報システム

2  共同指導の指摘事項(2):看護、食事、先進医療、DPC

平成28年度
3  共同指導の指摘事項(3):施設基準、医学管理、検査

4  共同指導の指摘事項(4):薬剤、食事、先進医療、DPC

平成29年度
5  共同指導の指摘事項(5):医療情報システム、診療関連

6  共同指導の指摘事項(6):薬剤関連、看護、請求事務

平成30年度
7  共同指導の指摘事項(7):医科保険診療の指摘事項

 保険医取消の実例紹介のコラム

1  保険医取消の実例:後発医薬品を先発医薬品とする不正請求

2  保険医取消の実例:診療報酬不正請求による逮捕と保険医取消

3  保険医取消の実例:検査結果の廃棄、保険適用外診療の不正請求

4  保険医取消の実例:死亡患者の診療報酬請求、コンタクトの不正

5  保険医取消の実例:鍼灸院や整骨院との不正請求、診療録の不作成

6  保険医取消の実例:監査の不出頭、カルテの改ざんによる取消処分

7  保険医取消の実例:無診察処方、無診察投薬による取消処分

8  保険医取消の実例:個別指導中の医師の入院と指導の延期

9  保険医取消の実例:個別指導の中断、中止、監査での取り消し

10 保険医取消の実例:架空請求の情報提供での保険医の取り消し

11 保険医取消の実例:廃止した医院への個別指導を経ない監査

12 保険医取消の実例:患者の情報提供による個別指導

13 保険医取消の実例:医師の名義貸しでの個別指導、監査

14 保険医取消の実例:無診察での不正請求

15 保険医取消の実例:無診察診療での個別指導

16 保険医取消の実例:再指導での個別指導からの監査

17 保険医取消の実例:刑事事件の有罪判決での保険医取消処分

18 保険医取消の実例:訪問看護ステーションへの個別指導

19 保険医取消の実例:子供の診療での不正請求

20 保険医取消の実例:14日後付け処方せんでの個別指導

SUNBELL LAW OFFICE個別指導

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