個別指導と監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。
ここでは、厚生局の医科の個別指導での指摘事項(食事、診療報酬明細書、一部負担金、保険外負担、保険外併用療養費、院内掲示、届出事項)をご説明します。
指摘事項は、東海北陸厚生局の公表資料「平成28年度に実施した個別指導において保険医療機関(医科)に改善を求めた主な指摘事項(東海北陸厚生局)」に基づいています。
厚生局の個別指導、監査に臨む医師の方は、指導監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。個別指導、監査には、弁護士を立ち会わせるべきです。詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。
【コラム】個別指導と監査の上手な対応法
U 食事に係る事項
1 食事(入院時食事療法(T))
○入院時食事療養(T)について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 特別食の食事箋(オーダー)について、医師の記載が乏しい。
V 請求事務に係る事項・その他事項等
1 診療報酬明細書
○診療報酬の請求にあたっては、診療部門と事務部門とが十分な連携を図り、適正な保険請求を行うこと。また、診療報酬明細書を審査支払機関へ提出する前に、医師自ら点検を行うこと。
○保険医及び事務担当者は、医科診療報酬点数表、医科診療報酬点数表に関連する厚生労働省告示及び厚生労働省保険局医療課長による通知等を今一度精読し、保険請求全般に係る知識の向上及び習得に努めること。
1 診療録と診療報酬明細書の不一致
○診療録と診療報酬明細書について、次の不一致が認められたので改めること。
・ 診療開始日、転帰、診療情報提供料の算定日。
・ 診療録に記載されている傷病名が、診療報酬明細書に記載されていない。
2 診療報酬明細書に記載された傷病名
○診療報酬明細書に記載された傷病名について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 主傷病名ではない傷病を主傷病名として記載している。
・ 主傷病名は原則1つとされているところ、多数の傷病を主傷病名としている。
・ 主傷病名と副傷病名を区別していない。
2 一部負担金
○一部負担金の受領について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 受領すべき者から受領していない。
・ 計算方法に誤りがある。
・ 未収の一部負担金に係る管理簿を作成していない。
・ 診療報酬の算定誤り等が判明した場合について、受領した一部負担金の調整(返還)が行われていない。
3 保険外負担
○保険外負担について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 所定の点数に含まれるものについて、患者から徴収している。
・ 実費徴収に係るサービスの内容や料金を明示した文書により患者の同意を確認していない。
○療養の給付と直接関係ないサービス等とはいえないものについて、次の不適切な保険外負担が認められたので改めること。
・ 入院環境等に係るもの
電気代、おむつの処理費用、電気毛布の使用料 等
・ 材料に係るもの
衛生材料代(ガーゼ代、絆創膏代等)、手術に通常使用する材料代、骨折や捻挫などの際に使用するサポーターや三角巾 等
・ サービスに係るもの
食事時のとろみ剤やフレーバーの費用 等
4 保険外併用療養費
○保険外併用療養費について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 特別の料金等について、東海北陸厚生局長に報告していない。
○特別の療養環境の提供(特別療養環境室料)について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 患者に対し同意書による同意の確認を行っていない。
5 院内掲示
○ 院内掲示について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 東海北陸厚生局長に届け出た施設基準を掲示していない。
・ 保険外負担に係る事項について掲示していない。
・ 保険外併用療養費に係る事項について(院内の見やすい場所に)掲示していない。(特別療養環境室の各々のベッド数、場所、料金)
・ 個別の診療報酬の算定項目の分かる明細書の発行について掲示していない。
・ 療養の給付と直接関係ないサービスについて、費用徴収に係るサービス等の内容及び料金を院内の見やすい場所に掲示していない。
6 届出事項
○次の届出事項の変更が認められたので、速やかに東海北陸厚生局長に届け出ること。
・ 保険医の異動。(転入・転出)(常勤・非常勤)
・ 管理者、診療日及び診療時間、標榜診療科の変更。
・ 施設基準に係る従事者の変更。
・ 特別の療養環境の提供に係る届出事項の変更。(金額・病床数)
○基準を満たさなくなった施設基準について、速やかに辞退届を提出すること。
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