個別指導と監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。
ここでは、東海北陸厚生局の保険医療機関(医科)への個別指導での指摘事項(検査、投薬、注射、精神科専門療法、処置、手術等)をご説明します。 指摘事項は、東海北陸厚生局の公表資料「平成28年度に実施した個別指導において保険医療機関(医科)に改善を求めた主な指摘事項(東海北陸厚生局)」に基づいています。
保険医療機関への個別指導、監査に臨む医師の方は、指導監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。個別指導、監査には、弁護士を立ち会わせるべきです。詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。
【コラム】個別指導と監査の上手な対応法
T 診療に係る事項
6 検査
○検査は個々の症状・所見に応じ、必要な項目を選択し、段階を踏んで、必要最小限の回数で実施すること。
○検査について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 医学的に必要性が乏しい検査。
・ 画一的な検査を漫然と実施している。
・ 外来迅速検体検査加算について、患者に対し、検査当日中に結果を説明した上で文書により情報を提供していない。
・ 悪性腫瘍の診断が確定した患者について、悪性腫瘍特異物質治療管理料ではなく、腫瘍マーカー検査を算定している。
・ 呼吸心拍監視について、観察した呼吸曲線、心電曲線、心拍数のそれぞれの観察結果の要点を診療録に記載していない。
・ 経皮的動脈血酸素飽和度測定について、対象とならない患者について算定している。
7 画像診断
○画像診断について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 医学的に必要性が乏しい画像診断。
・ 画一的な画像診断。
8 投薬・注射
○投薬・注射の使用にあたっては、その必要性を十分に考慮した上で、適応、用法、用量等の医薬品医療機器等法の承認事項を遵守して使用すること。
○次の過量投与の例が認められたので改めること。
・ 軟膏及び湿布等の外用薬。
○その他、投薬・注射について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ ビタミン剤の投与が必要かつ有効と判断した趣旨を診療録に記載していない。
・ 外用薬の処方せんについて、「用法」として1日の使用回数、使用時点を記載していない。
・ 特定疾患処方管理加算について、主病が特定疾患ではない患者に対して算定している。
・ 経口投与が可能であるものについて、注射により薬剤を投与している。
9 リハビリテーション
○疾患別リハビリテーションの実施にあたっては、医師は定期的な機能検査等をもとに、その効果判定を行い、定められた様式に準じたリハビリテーション実施計画書を作成すること。また、リハビリテーションの開始時及びその後3か月に1回以上、患者に対して当該リハビリテーション実施計画の内容を説明し、診療録にその要点を記載すること。
○疾患別リハビリテーション料について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 機能訓練の内容の要点を診療録等に記載していない。
・ リハビリテーション実施計画について、開始時の実施計画の説明の要点を診療録に記載していない。
・ 機能訓練の実施時刻(開始時刻と終了時刻)を診療録等に記載していない。
・ 機能訓練の開始時刻と終了時刻の記載が画一的。
・ 個別療法として訓練を行った時間が20分未満であるものについて算定している。
○リハビリテーション総合計画評価料について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ リハビリテーション総合実施計画書について、多職種(医師、看護師、理学療法士等)が共同して作成していない。
・ リハビリテーション総合実施計画書の様式が示されている様式に準じていない。
・ リハビリテーション総合実施計画書の記載内容が画一的。
○摂食機能療法について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 訓練指導を行った時間が1回につき30分未満であるものについて算定している。
10 精神科専門療法
○精神科専門療法について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 入院精神療法を行った場合に、その要点を診療録に記載していない。
・ 通院・在宅精神療法について、診療に要した時間を診療録に記載していない。
・ 通院・在宅精神療法を行った場合に、その要点を診療録に記載していない。
・ 心身医学療法を行った場合に、その要点を診療録に記載していない。
11 処置
○処置料について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 創傷処置について、処置した範囲を診療録等に記載していない。
・ 皮膚科軟膏処置について、処置した範囲を診療録等に記載していない。
・ 人工腎臓について、行った時間(開始及び終了した時間を含む。)を診療録等に記載していない。
12 手術
○手術について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 手術の通則の5及び6に係る施設基準に該当する保険医療機関について、手術を受ける患者への説明文書を診療録に添付していない。
・ 文書により輸血の必要性、副作用、輸血方法及びその他の留意点等について、患者等に説明していない。
13 麻酔
○麻酔について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 麻酔管理料について、麻酔前後の診察及び麻酔の内容を診療録に記載していない。
・ 麻酔管理料(T)について、施設基準として東海北陸厚生局長に届け出ている麻酔科標榜医以外の医師が麻酔・診察を行ったものについて算定している。
・ 麻酔管理料(U)について、麻酔を担当する医師が麻酔前後の診察を行っていない。
・ 麻酔管理料(U)について、常勤の麻酔科標榜医以外の医師の指導の下に行ったものについて算定している。
・ トリガーポイント注射について、必要性が乏しいものを漫然と実施している。
東海北陸厚生局の保険医療機関への個別指導、監査に臨む医師の方は、お電話下さい。個別指導、監査への対応方法を弁護士がアドバイスします。