医科の指導監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。
サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、個別指導と監査の対応業務を行っています。
ここでは、厚生労働省の個別指導(共同指導・特定共同指導)での指摘事項(施設基準、医療情報システム、診療録、傷病名、基本診療料、医学管理、在宅医療、検査、画像診断、病理診断、投薬、注射、薬剤料)をご説明します。
内容は、厚生労働省の公表資料「平成29年度 特定共同指導・共同指導(医科)における主な指摘事項」に基づいており、弁護士が適宜編集等しています。
厚生労働省による個別指導に臨む医師の方は、指導監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。個別指導(共同指導)には、弁護士を立ち会わせるべきです。詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。
【コラム】個別指導と監査の上手な対応法
特定共同指導・共同指導(医科)の指摘事項
1 施設基準関連
1 患者サポート体制充実加算
・患者の相談に対応する窓口に、専任の職員が保険医療機関の標榜時間内において常時1名以上配置されていない。
2 認知症ケア加算1
・専任の常勤看護師が、週16時間以上、認知症ケアチームの業務に従事していない。
2 医療情報システム関連
1 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第4.3版又は第5版関連
・パスワードの設定が不適切である。(有効期間、桁数)
・職種ごとのアクセス権限の範囲設定が不適切である。
・システムの監査を実施していない。
3 診療関連(1)
1 診療録等
・外来患者の診療録に医師による日々の診療内容の記載が全くない。
2 傷病名
・医学的な診断根拠のない「レセプト病名」を付与している。
(必要に応じて摘要欄の記載、症状詳記の記載を行うこと。)
・傷病名を適切に整理していない。
(傷病名数が多数となっている、重複して付与している等)
3 基本診療料等
・入院診療計画書の参考様式で示されている項目の一部の記載がない。
・入院診療計画書の記載内容が不適切である。
(「特別な栄養管理の必要性」があるにもかかわらず、記載では「なし」になっている、「その他」の記載内容が画一的であり、個々の患者の病状に応じたものとなっていない等)
・入院診療計画書について、関係職種が共同して作成していない。
・届出された専任の看護職員以外の看護職員が褥瘡対策に関する診療計画を作成している。
・栄養管理計画を作成した患者について、栄養状態を定期的に評価していない。
・臨床研修病院入院診療加算について、研修医の診療録の記載に係る指導医の指導が不十分である。
・救急医療管理加算(1・2)について、加算対象となる患者の評価が不適切である。
・栄養サポートチーム加算について、栄養治療実施計画書・報告書を作成していない。
・総合評価加算について、総合的な機能評価の結果について説明した内容の診療録への記載がない。
・退院支援加算(1・2・3)について、退院先を診療録に記載していない。
4 医学管理等
・治療計画、指導内容の要点等の必要記載事項を診療録に記載していない。
(特定疾患療養管理料、特定薬剤治療管理料、悪性腫瘍特異物質治療管理料、難病外来指導管理料、皮膚科特定疾患指導管理料(T)、がん性疼痛緩和指導管理料、リンパ浮腫指導管理料等)
・肺血栓塞栓症予防管理料について、肺血栓塞栓症を発症する危険性について評価していない。
・診療情報提供料(T)について、紹介元医療機関への受診行動を伴わないような患者紹介の返事について算定している。
・診療情報提供料(T)の退院時診療状況添付加算について、添付した写し又はその内容を診療録に貼付又は記載していない。
5 在宅医療
・在宅療養指導管理料について、指示した根拠、指示事項又は指導内容の要点を診療録に記載していない。
(在宅自己注射指導管理料、在宅人工呼吸指導管理料、在宅酸素療法指導管理料、退院前在宅療養指導管理料、在宅自己腹膜灌流指導管理料等)
6 検査・画像診断・病理診断
・必要性の乏しい検査を実施している。
(段階を踏んでいない検査、重複とみなされる検査、必要以上に実施回数の多い検査等)
・呼吸心拍監視について、観察した心電曲線、心拍数の観察結果の要点を診療録に記載していない。
・経皮的動脈血酸素飽和度測定について、酸素吸入を行っていない患者に対して算定している。
・認知機能検査その他の心理検査について、分析結果を診療録に記載していない。
・単純撮影の写真診断について、診断内容を診療録に記載していない。
・地方厚生(支)局長に届け出た、専ら画像診断を担当する常勤の医師以外の医師が読影したものについて、画像診断管理加算(1・2)を算定している。
・病理診断管理加算(1・2)について、病理診断を専ら担当する常勤の医師以外の医師が病理診断を行っている。
・病理判断料について、病理学的検査の結果に基づく病理判断の要点を診療録に記載していない。
7 投薬・注射、薬剤料等
・適応外、用法外、重複投与を行っている。
・ビタミン製剤について、投与の必要性を診療録及び診療報酬明細書に記載していない。
・外来化学療法加算(1・2)について、抗悪性腫瘍剤等による注射の必要性等について、文書で説明し同意を得て投与を行ったことが確認できない。
厚生労働省の個別指導に臨む医師の方は、お電話下さい。指導への対応方法を弁護士がアドバイスします。
個別指導、監査のコラム
厚生労働省・厚生局の指導監査の弁護士のコラム一覧です。
厚労省による個別指導の他、取消しの実例紹介などございます。
共同指導、個別指導、監査の際にご活用下さい。
共同指導の指摘事項のコラム
平成27年度
1
共同指導の指摘事項(1):施設基準、医療情報システム
2
共同指導の指摘事項(2):看護、食事、先進医療、DPC
平成28年度
3
共同指導の指摘事項(3):施設基準、医学管理、検査
4
共同指導の指摘事項(4):薬剤、食事、先進医療、DPC
平成29年度
5
共同指導の指摘事項(5):医療情報システム、診療関連
6
共同指導の指摘事項(6):薬剤関連、看護、請求事務
平成30年度
7
共同指導の指摘事項(7):医科保険診療の指摘事項
保険医取消の実例紹介のコラム
1 保険医取消の実例:後発医薬品を先発医薬品とする不正請求
2 保険医取消の実例:診療報酬不正請求による逮捕と保険医取消
3 保険医取消の実例:検査結果の廃棄、保険適用外診療の不正請求
4 保険医取消の実例:死亡患者の診療報酬請求、コンタクトの不正
5 保険医取消の実例:鍼灸院や整骨院との不正請求、診療録の不作成
6 保険医取消の実例:監査の不出頭、カルテの改ざんによる取消処分
7 保険医取消の実例:無診察処方、無診察投薬による取消処分
8 保険医取消の実例:個別指導中の医師の入院と指導の延期