医科の指導監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。
サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、個別指導と監査の対応業務を行っています。
個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。
弁護士鈴木が力を入れている個別指導のコラムです。
ここでは、厚生労働省が作成した医科の指導講評でのチェックリスト(包括評価に関する事項:診断群分類、傷病名、包括評価用診療報酬明細書)をご説明します。弁護士鈴木が平成29年6月9日に厚生労働大臣から開示決定を受けた医科指導講評セット(平成28年度版)に基づいており、弁護士鈴木が適宜加筆修正をしています。
指導監査のコラム
1 個別指導と監査の上手な対応法
包括評価、診断群分類の指導事項
1 診断群分類と傷病名(指導事項)
□(1)実態としては包括評価の対象外と考えられる患者について、包括化して算定している次の不適切な例が認められたので改めること。
□・[入院後24時間以内の死亡患者 ・ 生後7日以内の新生児の死亡 ]
□・[治験の対象患者 ・ 臓器移植患者 ・ [高度医療・先進医療]の対象患者 ]
□・[急性期以外の特定入院料の算定対象患者 ・ その他厚生労働大臣が定める者 ]
□(2)実態としては包括評価の対象と考えられる患者について出来高で算定している。
□・
□(3)妥当と考えられる診断群分類番号と異なる診断群分類番号で算定している次の不適切な例が認められたので改めること。
□① 「最も医療資源を投入した傷病名」(ICD-10傷病名)の選択が医学的に妥当ではない。※「 」内は、コード・傷病名の順で記載のこと。
□・実際には「 」であるところ「 」を選択
□② 「最も医療資源を投入した傷病名」(ICD-10傷病名)が実際に医療資源を最も投入した傷病名とは異なる。※「 」内は、コード・傷病名の順で記載のこと。
ア 原疾患が判明しているにもかかわらず、相応の理由なく、入院併存症や入院後発症疾患を「最も医療資源を投入した傷病名」(ICD-10傷病名)として選択している。
□・実際には「 」であるところ「 」を選択
イ 「最も医療資源を投入した傷病名」(ICD-10傷病名)として、医療資源を2番目に投入した傷病名を選択している。
□・実際には「 」であるところ「 」を選択
ウ その他の例。
□・実際には「 」であるところ「 」を選択
□③ 年齢、JCS (Japan Coma Scale)、体重等が実際と異なる。
□・
□④ 手術を行ったものについて、手術の術式の選択が不適切である。
□・
□⑤ 実際には行っていない手術を行ったものとして包括評価している。
□・
□⑥ 実際には行っていない(又は実際に行われたものと異なる)[ 「手術・処置等1」 ・ 「手術・処置等2」 ]を行ったものとして包括評価している。
□・
□⑦ 実際には[ 「手術・処置等1」 ・ 「手術・処置等2」 ]を行っているものについて、行っていないものとして包括評価している。
□・
□⑧ 実際には「副傷病なし」とすべきものを「副傷病あり」として分類している。
□・疑いの傷病名をもって「副傷病あり」としている。
□・
□⑨ 実際には「副傷病あり(定義告示で定義された疾病)」とすべきものを「副傷病なし」として分類している。
□・
□⑩ 「重症度等」が実際と異なる。
□・
□(4)次の不適切に付与された傷病名の例が認められたので改めること。
□・診療録に記載のないICD-10傷病名を「最も医療資源を投入した傷病名」として記載している。
□・主治医に確認することなく、事務部門(診療録管理部門)が「最も医療資源を投入した傷病名」を付与している。
□・病変の部位や性状が判明しているものについて、「部位不明・性状不明・詳細不明」等のICD-10傷病名を「最も医療資源を投入した傷病名」として記載している。
□・
2 包括評価用診療報酬明細書(指導事項)
□包括評価用診療報酬明細書の記載について、次の不適切な例が認められたので改めること。
□(1)「副傷病名」欄について、記載が不適切である。
□・
□(2)「転帰」の選択が不適切である。
□・誤って「その他」を選択。
□・検査入院であるものについて、「その他」を選択すべきところ「不変」を選択。
□・
□(3)「傷病情報」欄について、記載が不適切である。
□・DPC支援システムについて、直接傷病名の入力が行える仕様となっているため、医療情報システムの傷病名欄と齟齬を生じている。DPC支援システムへの傷病名の入力は、必ず医療情報システム本体の傷病名欄に記載している傷病名から選択すること。
□・[ 「主傷病名」 ・ 「入院の契機となった傷病名」 ・ 「2番目に医療資源を投入した傷病名」]の記載が不適切である。
□・[ 「入院時併存傷病名」 ・ 「入院後発症傷病名」 ]について、4つを超えて記載している。
□・[ 診療録 ・ 出来高の診療報酬明細書 ]に記載した傷病名で、[ 「入院時併存傷病名」 ・ 「入院後発症傷病名」 ]に相当する傷病名があるにもかかわらず、欄の[
全て ・ 一部 ]が空欄となっている。
□・「入院時併存傷病名」と「入院後発症傷病名」について、正しい区分に記載していない。
□・入院時に併存していていたことがわかっている傷病名について、入院時併存傷病名に記載していない。
□・
□(4)その他
□・予定入院・緊急入院の選択が誤っている。
□・「診療関連情報」欄について、記載が不適切である。
□・必要な情報の記載([ 新生児の体重 、JCS 、入院区分 、 手術・処置の内容等])がない。
□・総括表に必要事項を記載していない。
□・
3 包括評価に関わるその他の事項(指導事項)
□(1)医療機関別係数について、理解が誤っているので改めること。
□・[ ]が不適切である。
□(2)包括範囲について、理解が誤っている次の例が認められたので改めること。
□・包括期間中に処方した薬剤の一部を退院時処方として出来高で算定している。
□・手術に当たって使用した薬剤以外の薬剤を[ 手術 ・ 麻酔 ]の項で出来高で算定している。
□・術後疼痛に対して使用した[ ロピオン静注 ・ アンヒバ坐剤 ・ アセリオ静注液 ・ ]を手術薬剤として出来高で算定している。
□・術後疼痛に対する注射を実施するために使用した特定保険医療材料 [ 携帯型ディスポーザブルPCA用装置・
携帯型ディスポーザブル注入ポンプ[ 一般型・一般用 ・ 一体型 ]]及び薬剤[ フェンタニル注射液 ・ ]
を出来高で算定している。
□・[ 術前 ・ 検査前 ]に行った[ グリセリン浣腸 ・ ]
□・転院であるものについて、退院時処方を算定している。
□・
□(3)適切なコーディングに関する委員会について、次の不適切な事項が認められたので改めること。(斜字:平成28年度改定より)
□・コーディング委員会が、適切な診断を含めた診断群分類の決定を行う体制を確保することを目的として設置されていない。
□・委員会が、診療報酬の多寡に関する議論を行う場となっている。
□・
□・[ 診療部門に所属する医師 ・ 薬剤部門に所属する薬剤師 ・ 診療録管理部門又は請求事務部門に所属する診療記録管理者 ]が構成員に含まれていない。
□・実症例を扱う際に、当該症例に携わった医師等の参加を求めていない。
□・年4回以上開催していない。
□・
□(4)包括評価に係るその他の事項
□・DPCに関する事項の院内掲示がない。
□・同一の疾病に対する検査・治療を目的とする7日以内の再入院について、一連の入院とみなして取扱っていない。
□(例: )
□・包括評価を行っている入院患者の他院受診時の取扱いが不適切である。
□(例: )
□・
個別指導、監査に悩んでいる医師の方は、お電話を下さい。個別指導、監査への対応方法をアドバイス致します。
指導監査のコラム
指導監査のコラムです。
個別指導、監査の際に、また日常の医院運営、臨床にご活用下さい。
個別指導のチェックリストのコラム
1
個別指導の指摘事項(1):講評、保険医療機関の特徴的事項
2
個別指導の指摘事項(2):カルテ
3
個別指導の指摘事項(3):傷病名
4
個別指導の指摘事項(4):初診料 再診料 入院料 入院基本料
5
個別指導の指摘事項(5):特定疾患治療管理料 診療情報提供料
6
個別指導の指摘事項(6):在宅医療
7
個別指導の指摘事項(7):検査、画像診断、病理診断
8
個別指導の指摘事項(8):投薬、注射
9
個別指導の指摘事項(9):リハビリテーション
10
個別指導の指摘事項(10):精神科専門療法、処置
11
個別指導の指摘事項(11):手術、麻酔、放射線治療
12
個別指導の指摘事項(12):薬剤
13
個別指導の指摘事項(13):看護、食事、寝具、設備
14
個別指導の指摘事項(14):請求事務(診療録等)
15
個別指導の指摘事項(15):請求事務(医学管理、在宅医療)
16
個別指導の指摘事項(16):請求事務(検査、投薬等)
17
個別指導の指摘事項(17):請求事務(処置、手術、麻酔等)
18
個別指導の指摘事項(18):保険外併用療養費
19
個別指導の指摘事項(19):一部負担金、保険外負担
20
個別指導の指摘事項(20):包括評価と診断群分類
21
個別指導の指摘事項(21):診療報酬の自主返還
22
個別指導の指摘事項(22):指導での診療報酬の自主返還
保険医取消の実例紹介のコラム
1 保険医取消の実例:後発医薬品を先発医薬品とする不正請求
2 保険医取消の実例:診療報酬不正請求による逮捕と保険医取消
3 保険医取消の実例:検査結果の廃棄、保険適用外診療の不正請求
4 保険医取消の実例:死亡患者の診療報酬請求、コンタクトの不正
5 保険医取消の実例:鍼灸院や整骨院との不正請求、診療録の不作成
6 保険医取消の実例:監査の不出頭、カルテの改ざんによる取消処分
7 保険医取消の実例:無診察処方、無診察投薬による取消処分
8 保険医取消の実例:個別指導中の医師の入院と指導の延期