医科の指導監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。
サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、個別指導の対応業務を行っています。
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ここでは、厚生労働省の保険局医療課医療指導監査室が公表した、医科の保険診療確認事項リスト(投薬、注射、薬剤料の部分)をご紹介します。平成30年度改訂版ver.1809に基づいており、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。
また、個別指導については、以下のコラムもご参考下さい。
1 個別指導(医科)の上手な対応法
投薬、注射、薬剤料等
1 不適切な投与
□(1)次の禁忌投与の例が認められたので改めること。
□・( )の患者に対する[ ]の投与
□(2)次の適応外投与の例が認められたので改めること。
―鎮静目的で使用―
―抗癌剤―
―ビタミン剤―
―その他―
□(3)次の用法外投与の例が認められたので改めること。
□(4)次の過量投与の例が認められたので改めること。
□(5)次の長期漫然投与の例が認められたので改めること(同一の投薬は、みだりに反復せず、症状の経過に応じて投薬の内容を変更する等の考慮をすること)。
□・[ ]の[ 日間]投与
□(6)次の重複投与の例が認められたので改めること。
□・成分、作用機序がほぼ同一のものを併用
□・注射薬と内服薬の併用
□(7)次の不必要な多剤投与(同じ適応症に対して、成分又は作用機序が異なるもの)の例が認められたので改めること。
□・( )と( )と( )の併用
2 抗菌薬等の使用
□・細菌培養同定検査、薬剤感受性検査等の適正な手順を踏まずに、必要性の乏しい広域抗菌薬( )を投与している。
□・細菌感染症の所見、徴候が認められない患者に対して、予防的に抗菌薬を投与している。
□・治療効果や薬剤感受性試験の結果を検討しないまま漫然と長期間投与を継続している。
□・抗菌スペクトルを検討せずに必要以上の多剤併用を行っている。
□・術中術後の感染予防のため、広域抗菌薬( )を投与している。
□・術後に抗菌薬の投与を( )日間に渡り漫然と継続している。
□・[ ・ ・ ]を[ 洗浄目的で・ ドレーンから注入する生理食塩水に混合して ・ ]使用している。
3 血液製剤の使用
□・血液製剤の使用に当たって、「「輸血療法の実施に関する指針」及び「血液製剤の使用指針」の一部改正について」(平成26年11月12日付薬食発1112第12号厚生労働省医薬食品局長通知)及び「「血液製剤の使用指針」の改定について」(平成29年3月31日薬生発0331第15号)を遵守していない次の不適切な例が認められたので改めること。
[G004]
□・アルブミン製剤( )を[ 慢性の病態においてアルブミン値2.5g/dL以上・ 急性の病態においてアルブミン値3.0g/dL以上 ]の患者に対して投与している。
□・アルブミン値を全く測定せずに、アルブミン製剤を(漫然と)投与している。
□・新鮮凍結血漿を凝固因子の補充による出血傾向の是正以外の目的で投与している。
□・ヒト免疫グロブリン製剤( )を適応外の[]に対して投与している。
□・アルブミン製剤( )を適応外の人工心肺装置のプライミング目的に使用している。
□・( )を適応外の( )に対して投与している。
4 薬剤の投与
□・ビタミン剤の投与について [F200]
□・ビタミン剤の投与が必要かつ有効と判断した趣旨が具体的に診療録及び診療報酬明細書に記載されていない。
□・疾患又は症状の原因がビタミンの欠乏又は代謝障害であることが推定されるもの以外に対してビタミン剤を投与している。
□・その他の薬剤の投与について
□・治療を目的としないうがい薬のみの投薬について算定している。
□・投薬期間について
□・投与期間に上限が設けられている医薬品について、1回につき定められた日数分以上投与している。(
□・投与期間に上限が設けられている医薬品について、当該患者に既に処方した医薬品の残量及び医療機関における同一医薬品の重複処方の有無について、診療録に記載していない。
□・投与期間に上限が設けられている麻薬又は向精神薬の処方について
□・当該患者に既に処方した医薬品の残量及び他の医療機関における同一医薬品の重複処方の有無について患者に確認していない。
□・患者に確認した内容について、診療録に記載が[ ない ・ 不十分である ]。
□・抗癌剤について
□・( )の投与に際して、有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得ていない。
□・(200床以上の保険医療機関において)[ 処方料 ・ 処方箋料 ]を算定し、30日を超える長期の投薬を行うに当たって、医科点数表の通知に定める要件を満たさない場合であるにもかかわらず、患者に対して他の保険医療機関(200床未満の病院又は診療所)に文書による紹介を行う旨の申出を行っていない。
□・関節内注射について
□・プレフィルドを使用しているにもかかわらず、多剤を混注し、使用している。
5 投薬・注射
□① 処方箋料 [F400]
□処方箋を患者又は現にその看護に当たっている者以外の者に対して交付している。
□一般名処方加算
□一般的名称に剤形及び含量を記載していない。
□一般名又は一般名が把握可能な製品名を診療録に記載していない。
□② 院外処方箋
□・あらかじめ押印している。
□・様式が定められたもの又はこれに準ずるものとなっていない。
□・用法の記載が [ ない ・ 不適切である ・ 不十分である ]。
□・用量の記載が [ ない ・ 不適切である ・ 不十分である ]。
□・処方医以外の医師名があらかじめ記載されている。
□・注射器、注射針又はその両者のみを処方箋により投与している例が認められたので改めること。
□③ 外来化学療法加算[ 1 ・ 2 ] [第2章第6部通則6]
□・抗悪性腫瘍剤等による注射の必要性等について文書で説明し同意を得て実施していない。
□・登録された化学療法のレジメンの妥当性について委員会で評価していない。
□・未登録のレジメンで算定している。
□④ 注射実施料
□・中心静脈栄養用植込型カテーテル [G005] からの注射について中心静脈注射で算定している。
□・精密持続点滴注射加算 [第2章第6部通則4]
□・1時間に30mLより速い速度で注入しているものについて算定している。
□・緩徐に注入する必要がない薬剤を注入した場合に算定している。
□・精密持続点滴注射加算について、[ 実施に係る記録 ・ 指示した旨の記録 ]がない。
□・血漿成分製剤加算について、算定要件を満たしていない。 [G004]
□・説明に用いた文書の写しを診療録に貼付していない。
□・血漿分画製剤([ アルブミン製剤 ・ グロブリン製剤 等])について算定している。
□⑤ 注射
□・経口投与が可能であるものについて、注射により薬剤を投与している。
□・注射については、経口投与をすることができないとき、経口投与による治療の効果を期待することができないとき、特に迅速な治療をする必要があるとき、その他注射によらなければ治療の効果を得ることが困難であるとき等、使用の必要性について考慮した上で行うこと。
□・注射の必要性の判断が診療録から確認できない。
6 [ 処方料 ・処方箋料 ]特定疾患処方管理加算
□・算定対象の疾患が主病でない患者について算定している。
7 [ 処方料 ・ 処方箋料 ]長期投薬加算
□・算定対象の疾患が主病でない患者について算定している。
□・[ 算定対象となる主病以外の疾患に係る薬剤を28日以上処方して ・ 算定対象となる主病に係る薬剤の処方が28日未満であるにもかかわらず ]算定している。
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指導監査のコラム
医科の指導監査のコラムです。
個別指導、監査の際に、また日常の医院運営、臨床にご活用下さい。
保険診療の確認事項リストのコラム
1
保険診療確認事項リスト(1):診療録、傷病名
2
保険診療確認事項リスト(2):基本診療料(初診料)
3
保険診療確認事項リスト(3):医学管理(特定疾患治療管理料)
4
保険診療確認事項リスト(4):在宅医療(訪問診療料)
5
保険診療確認事項リスト(5):検査、画像診断、病理診断
6
保険診療確認事項リスト(6):投薬、注射、薬剤料
7
保険診療確認事項リスト(7):リハビリテーション
8
保険診療確認事項リスト(8):精神科専門療法、処置、手術
9
保険診療確認事項リスト(9):薬剤(薬剤管理指導料)
10
保険診療確認事項リスト(10):看護、食事、寝具
11
保険診療確認事項リスト(11):管理、請求事務、施設基準
12
保険診療確認事項リスト(12):包括評価(DPC)
保険医取消の実例紹介のコラム
1 保険医取消の実例:後発医薬品を先発医薬品とする不正請求
2 保険医取消の実例:診療報酬不正請求による逮捕と保険医取消
3 保険医取消の実例:検査結果の廃棄、保険適用外診療の不正請求
4 保険医取消の実例:死亡患者の診療報酬請求、コンタクトの不正
5 保険医取消の実例:鍼灸院や整骨院との不正請求、診療録の不作成
6 保険医取消の実例:監査の不出頭、カルテの改ざんによる取消処分
7 保険医取消の実例:無診察処方、無診察投薬による取消処分
8 保険医取消の実例:個別指導中の医師の入院と指導の延期
9 保険医取消の実例:個別指導の中断、中止、監査での取り消し
10 保険医取消の実例:架空請求の情報提供での保険医の取り消し
11 保険医取消の実例:廃止した医院への個別指導を経ない監査
12 保険医取消の実例:患者の情報提供による個別指導