医科の指導監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。
サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、個別指導と監査の対応業務を行っています。
個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。
弁護士鈴木が力を入れている指導監査のコラムです。
ここでは、医科診療報酬請求の留意事項(医学管理、自動算定)についてご説明を致します。 内容は、厚生労働省保険局医療課医療指導監査室の公表資料「保健診療の理解のために【医科】(平成28年度)」に基づいており、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。
個別指導、監査に悩んでいる医師の方は、指導、監査に詳しい弁護士への速やかな相談をお勧めします。個別指導、監査においては、弁護士を立ち会わせるべきです。以下のコラムもご覧いただければ幸いです。
指導監査のコラム
1 個別指導と監査の上手な対応法
第4 医学管理
○ 指導内容、治療計画等の診療録への記載など、算定要件を満たしていなければ算定できない。→算定要件を満たさなければ請求は返還対象となる。
1 医学管理等
医科診療報酬点数表における「医学管理等」とは、処置や投薬等の物理的な技術料と異なり、医師による患者指導や医学的管理そのものを評価する診療報酬項目である。項目ごとの算定要件や算定回数制限など、請求上留意すべき事項についても知っておく必要があり、レセプトチェックの際等に十分確認する必要がある。
2 算定上の留意点
対象患者に対し、単に指導を行ったのみでは算定できない。指導内容、治療計画等診療録に記載すべき事項が、算定要件としてそれぞれの項目ごとに定められていることに留意する。
(算定要件の例)
@ 特定薬剤治療管理料
・対象疾患に対し対象薬剤を投与した患者について、投与薬剤の血中濃度を測定し、その結果に基づき、投与量を精密に管理した場合に算定できるものであり、単に薬剤血中濃度を測定したことのみで算定できるものではない。
・血中濃度及び治療計画の要点を診療録に記載する。
例)心疾患患者であってジギタリス製剤を投与しているもの
てんかん患者であって抗てんかん剤を投与しているもの
A 悪性腫瘍特異物質治療管理料
・悪性腫瘍であると確定診断がされた患者に、腫瘍マーカー検査の結果に基づいて計画的な治療管理を行った場合に算定できるものであり、単に腫瘍マーカー検査を行ったことのみで算定できるものではない。
・検査の結果及び治療計画の要点を診療録に記載する。
B 外来栄養食事指導料、入院栄養食事指導料
・厚生労働大臣が定める特別食を必要と認めた者、がん患者、摂食機能又は嚥下機能が低下した患者、低栄養状態にある患者に対し、管理栄養士が医師の指示に基づき、患者ごとに食事計画案等を必要に応じて交付し、概ね30分以上(2回目以降は概ね20分以上)、栄養指導を行った場合に算定する。
・管理栄養士への指示事項は、熱量・熱量構成、蛋白質、脂質その他の栄養素の量、病態に応じた食事形態等に係わる情報のうち医師が必要と認めるものに関する具体的な指示を含まなければならない。
・医師は管理栄養士への指示事項を診療録に記載する。管理栄養士は栄養指導記録を作成し、指導内容の要点と指導時間を記載する。
C 肺血栓塞栓症予防管理料
・肺血栓塞栓症を発症する危険性の高い入院患者に対して、弾性ストッキング又は間歇的空気圧迫装置を用い、計画的な医学管理を行った場合に算定する。関係学会より標準的な管理方法(「肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン」)が示されており、患者管理が適切になされるよう十分留意する。
D 診療情報提供料 (診療情報提供料(T))
・別の保険医療機関での診療の必要を認め、患者の同意を得て、診療状況を示す文書を添えて患者の紹介を行った場合に算定する。
(患者の受診を伴わない単なる経過報告や患者紹介の「お返事」等については、算定できないことに留意する。)
・交付した診療情報提供書の写しを診療録に添付するとともに、紹介先からの照会に対しては懇切丁寧に対応する。
E 療養費同意書交付料
・医師が療養の給付を行うことが困難であると認めた患者に対し、あん摩・マッサージ・指圧、はり及びきゅうの施術に係る同意書又は診断書を交付した場合に算定する。(患者の疾病又は負傷が自己の専門外にわたるものであるという理由によって、みだりに施術業者の施術を受けさせることに同意を与えてはならない。)(療担第
17 条)
・なお、各施術の対象疾患については、以下のとおり、対象疾患が限定されていることに留意されたい。(柔道整復についても、応急手当を除く骨折及び脱臼については医師の同意が必要であるが、療養費同意書交付料算定の対象とはならない。)
(はり・きゅうの対象疾患)
慢性病で医師による適当な治療手段のないもの
@ 主として、神経痛、リウマチ
A 類似疾患(頸腕症候群、五十肩、腰痛症、頸椎捻挫後遺症等)
(あんま・マッサージ・指圧の対象疾患)
筋麻痺、関節拘縮等で医療上マッサージを必要とするもの
3 いわゆる「自動算定」について
医学管理料の算定対象となる状態にある患者に対し、請求事務担当者のみの判断で一律に請求を行う、いわゆる「自動算定」は、極めて不適切な請求行為であり、不正請求の温床となり得る。
医学管理料の算定が可能か否かについて、算定要件(対象疾患、記載要件等)を満たしていることを主治医が自ら確認し、算定する旨を請求事務担当者に伝達する必要がある。
(不適切な算定例)
・悪性腫瘍マーカーを測定した患者に対して、一律に悪性腫瘍特異物質治療管理料を算定(医学的管理の必要性、診療録の記載等、個々の事例ごとに算定要件を満たしていることを確認していない。)。
・医療情報システムを導入している場合に、医学管理料のオーダー項目が存在せず(または医師に周知されず)、傷病名、投薬・検査の内容等により一律に医学管理料を算定。
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指導監査のコラム
指導監査に関するコラムです。
個別指導、監査の際に、また日常の医院運営にご活用下さい。
診療報酬請求の留意事項のコラム
1
診療報酬請求の留意事項(1):診療録(カルテ)
2
診療報酬請求の留意事項(2):傷病名、レセプト病名
3
診療報酬請求の留意事項(3):基本診療料、入院基本料
4
診療報酬請求の留意事項(4):医学管理、自動算定
5
診療報酬請求の留意事項(5):在宅医療、在宅療養指導管理料
6
診療報酬請求の留意事項(6):検査、画像診断、病理診断
7
診療報酬請求の留意事項(7):投薬、注射、輸血、血液製剤
8
診療報酬請求の留意事項(8):処置、手術、麻酔
9
診療報酬請求の留意事項(9):リハビリテーション
10
診療報酬請求の留意事項(10):精神科専門療法
11
診療報酬請求の留意事項(11):食事療法、ビタミン剤投与
12
診療報酬請求の留意事項(12):DPC/PDPSについて
保険医取消の実例紹介のコラム
1 保険医取消の実例:後発医薬品を先発医薬品とする不正請求
2 保険医取消の実例:診療報酬不正請求による逮捕と保険医取消
3 保険医取消の実例:検査結果の廃棄、保険適用外診療の不正請求
4 保険医取消の実例:死亡患者の診療報酬請求、コンタクトの不正
5 保険医取消の実例:鍼灸院や整骨院との不正請求、診療録の不作成
6 保険医取消の実例:監査の不出頭、カルテの改ざんによる取消処分
7 保険医取消の実例:無診察処方、無診察投薬による取消処分
8 保険医取消の実例:個別指導中の医師の入院と指導の延期