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医院の継承とМ&Aのコラムです。サンベル法律事務所は『歯科医院の事業承継とM&A』を出版しており、医院の引継ぎに特に力を入れています。医院継承にお悩みの医師の方は迷わずご相談下さい。

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事業承継の流れと資料開示

医院の事業承継、居抜き、M&Aに強い、医師のための弁護士です。

サンベル法律事務所は、医療関係者からご相談をいただき、多数の居抜き、医院譲渡のサポート業務を行っています。医院承継、M&Aにお悩みの医師の方は、サンベル法律事務所にご相談下さい。

弁護士鈴木が力を入れている医院法務に関するコラムです。
ここでは、医院の継承、事業承継、M&A、係る契約書の書式、ひな形についてお話をします。

 医院継承の手続き

医院の引継ぎのためには、まず、新院長の候補者を見つける必要があります。候補者は、現院長の子供の医師、勤務医、それ以外の第三者の順序で検討していくことが通例です。
新院長の候補者を見つけ出せれば、話し合い交渉し、譲渡金額や継承方法などを合意の上、継承契約を締結します。契約は、子供への引継ぎであっても、契約書を作成すべきです。

医療法人ではない医師個人から個人への医院の引継ぎの場合、継承の手続きは、現院長が現診療所の廃止届等を諸機関に提出するなどし、新院長が、診療所の新規開設の諸手続きを行うなどすることになります。継承にあたっては、スケジュール表を作成管理し、十分な準備をすることが肝心です。

なお、継承に際しては、新院長が、厚生局に保健医療機関の指定の申請手続きを新規に行うことになります。係る指定を受けられるまで、一定の期間を要することに注意が必要です。その期間は、原則として保険診療ができません。ただし、親から子への継承の場合など、「遡及願」を提出することで、開設時に遡って保険診療ができる場合があります。

 資料開示と秘密保持契約書

新院長の候補者と、医院の継承、M&Aの交渉をする場合、決算資料など、種々の資料開示を要求されることが通例です。現院長は、要求された資料は、積極的に開示すべきでしょう。
資料の開示に際しては、開示された情報の取扱いなどを明確にするために、秘密保持契約を締結すべきです。契約書は、最初に書式、ドラフトを作成し提示する側が有利ですので、秘密保持契約書の案文をこちら側で作成し提案していくことが重要です。

なお、レセプトなど、患者の個人情報が記載された資料の開示については、個人情報の保護に関する法律が、個人データの第三者提供を原則として禁じているため、問題となります。個人情報の保護に関する法律は、その23条4項2号で、合併その他の事由による事業の承継に伴って個人データが提供される場合は、禁止される第三者提供に当たらないとしますが、これは、医院の継承に伴う個人情報の移転の規定であり、医院を継承するかわからない交渉段階での提供を認めたものではありません。結論を申しますと、患者情報は、特にセンシティブな個人情報ですので、交渉段階での患者の個人情報が記載された資料の開示は、秘密保持契約を締結したとしても、個人情報の保護に関する法律に抵触する第三者提供に該当し得るというべきです。患者の個人情報の提供に際しては、マスキングし特定の個人と識別できないようにするなどの対応をする必要があります。

医院継承での契約書作成の重要性と書式のひな形

 医院継承での契約書作成のメリット

医院の継承、M&Aで契約書を作成する主なメリットは、以下のとおりです。
@ 合意内容が明確になり、約束を反故にされる事態を予防できる。
A 第三者が確認できるため、契約内容の証拠資料になる。
B 契約書の作成プロセスを通じ、
  トラブルが生じがちな点について意識合わせができる。

現院長としては、契約締結後、廃院の具体的な手続きを進めてから、新院長が、引継ぎはやめる、医院は引継がないなどと突如言いだすことを予防する見地から、新院長からの契約の解除事由を限定し、かつ、違約罰や前払金などの契約条項を盛り込むことが重要です。

医院の継承、M&Aは、ケースごとに特有の事情、ポイントがあることが多いため、一般的な契約書の書式やひな形をそのまま流用することは、重大な過誤に繋がる恐れがあります。弁護士に相談し、弁護士の関与の下で、契約書の書式やひな形をそのまま引き写すのではない、継承の実情にあった契約書を作成締結することをお勧めします。

 契約書の書式 ひな形

上記のとおり、医院継承、M&Aにおいて、一般的な契約書の書式やひな形を流用することは、お勧めできません。とはいえ、弁護士に相談する心理的ハードルは高く、医院の事業承継の契約書の書式やひな形をまずは入手し、内容を検討したいという医師の方も多いかと存じます。

そこで手前味噌ではありますが、拙著『歯科医院の事業承継とM&A』において、以下の契約書の書式、ひな形を、解説付きで掲載しております。契約書の書式は医院継承の実務に即したもので、第三者承継(M&A)の書式では、表明保証条項、暴力団排除条項などもきちんと挿入しており、売手側の書式では売手側に有利に、買手側の書式では買手側に有利になっています。
@ 親子承継での、
  医院承継の契約書のひな形
A 勤務医承継での、
  医院承継の契約書のひな形
B 第三者承継(M&A)での売手側(院長側)の、
  医院承継の契約書のひな形
C 第三者承継(M&A)での買手側(新院長、医療法人など)の、
  医院承継の契約書のひな形

また、『歯科医院の事業承継とM&A』には、以下の医院承継での秘密保持契約書の書式、ひな形も解説付きで掲載しています。売手側の書式では売手側に有利に、買手側の書式では買手側に有利になっています。
@ 第三者承継(M&A)での売手側(院長側)の、
  医院承継の秘密保持契約書のひな形
A 第三者承継(M&A)での買手側(新院長、医療法人など)の、
  医院承継の秘密保持契約書のひな形

医院の上手な承継のノウハウをわかりやすく解説した書籍であり、医院の承継を考えはじめた医師がまず最初に読むべき内容となっておりますので、ご一読いただき、ご活用いただければ幸いです。

医院の継承・M&Aの検討開始時期と実行時期

 事業承継はいつから検討を開始すべきか

結論を申し上げますと、生涯現役を目指している方でなければ、50歳を過ぎた時点で一度、将来の医院承継について具体的に検討すべきであり、できれば専門家に相談をしておくべきと考えています。
50歳を過ぎた時点であれば、親族内承継ができそうか(あるいはできないか)、方向性が見えてくるケースが多いですし、実際の引退時期まではまだまだ時間がありますので、上手な継承への対策を十分時間をかけて講じることができるためです。また、院長のみで方向性を決めるのではなく、詳しい弁護士や税理士などに状況を相談し、アドバイスを受けることをお勧めします。専門家の助言を受けることで、大きな落とし穴を回避できることがしばしばありますし、第三者である専門家に相談をすることを通し、自らの事業承継への考えを固める契機にもなるためです。

 いつ継承を実行すべきか

ケースバイケースではあるものの、引退後の生活の目途がつくのであれば、早めの継承手続きの実行をお勧めします。
まだまだ元気でもったないという時期に引継いでおかないと、徐々にその医院の事業価値、売買価格が下がり、最終的には引継ぎそれ自体が難しくなってしまうためです。院長の治療技術、気力が十分であるうちに引継ぐことが、価値の高い皮膚科医院の引継ぎに繋がり、引継ぎ手そして患者に望ましい結果になります。
とはいえ、本心早く引退をしたいものの、現実には様々な事情から実現できないことも多いと思います。そのような事態にならないように、また、高値で価値の高い状態で引継げるように、50歳を過ぎたころからの、将来的な事業承継・M&Aに向けた早めの事前準備の開始をお勧めします。


医院の継承、M&Aを検討されている院長様は、お電話を下さい。取るべき方向性や留意点などを具体的にアドバイス致します。


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