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医療過誤、医療ミスのコラムです。医療ミス、医療過誤訴訟は、医師のための弁護士、サンベル法律事務所に迷わずご相談下さい。

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医療過誤訴訟の統計

医師のトラブルを解決する、医療機関側の弁護士です。
医療ミスだ、医療過誤だと患者に主張されお悩みの医師の方はご相談下さい。

弁護士鈴木が力を入れている医院法務に関するコラムです。
ここでは、医療訴訟に繋がる医療過誤、医療ミスについてお話をします。

 医療過誤訴訟の状況

1 医療ミス、医療過誤訴訟の件数

医療裁判の件数は、裁判所の公表資料(医事関係訴訟に関する統計)によれば、以下のとおりであり、皮膚科を例にとると、平成25年は12件、平成26年は8件、平成27年は6件となっています。数値は全国の地方裁判所事件の既済件数であり、平成27年の数値は速報値です。統計上、医療訴訟の件数は全体として横ばい傾向にあります。

  診療科目  平成25年  平成26年  平成27年
  内科    177     187     178
  小児科   10     9      13
  精神科   33     31      25
  皮膚科   12       8       6
  外科    124     114     121
  整形外科  90     95     95
  形成外科  29     28     28
  泌尿器科  24     13     17
  産婦人科  56     60     50
  眼科    20     17     18
  耳鼻咽喉科 6       8         10
  歯科    78     89     87
  麻酔科   2       6       4
  その他   118     98      98

2 医療ミス、医療過誤訴訟の判決の認容率

医療関係訴訟の判決の認容率(判決のうち訴えた請求が一部でも認められた割合)は、裁判所の公表資料(医事関係訴訟に関する統計)によれば、平成25年は24.7%、平成26年は20.4%、平成27年は20.6%となっています。医療訴訟全体の地方裁判所での判決の認容率であり、平成27年の数値は速報値です。医療過誤、医療ミスがあったとして裁判となった場合に、判決で医師側が負ける確率は、診療科目によって大きな差がないとすれば、統計上、2割強ということになります。

3 医療ミス、医療過誤訴訟の平均審理期間

医療関係訴訟の平均審理期間は、裁判所の公表資料(医事関係訴訟に関する統計)によれば、平成25年は23.3カ月、平成26年は22.6カ月、平成27年は22.8カ月となっています。医療訴訟全体の裁判の平均審理期間であり、地方裁判所及び簡易裁判所の事件が含まれ、平成27年の数値は速報値です。医療過誤、医療ミスの裁判は、第一審の終結まで、診療科目によって大きな差がないとすれば、統計上、2年程度ということになります。医療訴訟は例えば2年程度かかるとお伝えすると、びっくりする皮膚科医の方も多いのですが、これが医療過誤、医療ミスの裁判の実情です。

4 医療過誤訴訟の状況のまとめ

統計上、医師が医療過誤、医療ミスに関して裁判に関わることは少ないです。しかし一方で、裁判は国民の権利であり、医療関係訴訟の判決の認容率の低さ(直近3年間平均21.9%)が示すとおり、医師ないし医院側に落ち度がなく現実には医療過誤、医療ミスがなくても、患者が訴えてくることがあります。その場合、裁判所が直ちに審理を終結してくれるケースは少なく、医療関係訴訟の平均審理期間(直近3年間平均22.9カ月)が示すとおり、長期間の裁判手続きが必要になります。

医療ミスと患者が主張し訴えた際の現場対応法


 医療ミスと主張された際の対応のポイント

患者から医療ミスのクレームがあった場合の対応のポイントは、以下のとおりです。
@ 単純な医療ミス 
  → 丁寧に直ちに謝罪し、医師賠償責任保険で対応する。
A 医療ミスか不明 
  → 医療ミスを認める謝罪はせず、調査検討してから回答する。
B 医療ミスがない 
  → 治療にミスがないことと自らの正当性を丁寧に説明する。

@の単純な医療ミスとは、例えば薬液を取り違えてしまったケースなどです。この場合は、直ちに丁寧に謝罪することが、紛争の沈静化に繋がります。

Aの医療ミスか不明なケースでは、その場で安易に謝罪せず、医療ミスがあったと判断できるまで、患者に賠償の期待を持たせないことが肝心です。賠償の期待を持たせてしまった場合、後に、医師賠償責任保険の審査機関から、医療過誤がなく賠償金は支払えないとの回答があった際に、患者に対し、保険の審査機関が医療ミスがないと判断したため賠償金は支払えない、と伝えても、患者は納得ができず、紛争が拡大し、場合により、白黒つけるため医療訴訟に至ってしまいます。

Bの医療ミスがないケースでは、恐れずに、治療にミスがないことと自らの正当性をはっきり繰り返し説明することが重要です。患者が引き下がらないことも多いですが、医療ミスの立証は難しそうだと内心判断してくれるケースが多く、紛争の沈静化が期待できます。

 医療過誤訴訟の弁護士の選び方

裁判は、勝つべきが勝ち、負けるべきが負ける、どの弁護士に依頼してもそう変わらない、こう考えている方もいるでしょう。しかし、現実は、裁判の進行方法や訴訟戦術など弁護士により個性があり、弁護士の腕の差が大きく影響します。
いざ裁判になった場合、どの弁護士に依頼すれば良いか、どうすれば腕の立つ弁護士に依頼できるか、という問題が生じます。

医療過誤、医療ミスの裁判については、典型的には、医師賠償責任保険の関係で、医師会や保険会社から弁護士の紹介を受けるケースが多いでしょう。その他、知り合いの医師や顧問税理士などから紹介を受ける、インターネットで医療過誤訴訟に強そうな弁護士を探す、などといったルートが考えられます。

弁護士の腕は、経験のみから決まるものではなく、その弁護士個人の能力に大きく影響を受けます。とはいえ、医師会や保険会社から紹介してもらった場合は、医事紛争の経験のある弁護士を紹介してもらえる可能性が高く、保険の手続きもスムーズですので、穏当な方法といえるでしょう。

しかし、医師会や保険会社から紹介された弁護士に依頼したものの、相性が悪く、後悔するケースも考えられます。また、医事トラブル対応で有名な法律事務所を紹介され、代表弁護士は確かに力のある弁護士だったとしても、実際に担当する弁護士が力不足であることもあります。

そこで、相談した当日直ちに依頼するのではなく、まずは相談に留め、受けたアドバイス内容の妥当性や人柄などを熟慮し、その上で、信頼できるということであれば、後日に正式に依頼することをお勧めします。その弁護士の腕や相性に不安を感じれば、正式な依頼は留保し、別のルートで別の弁護士へも同様の相談を行い、その上で、最終的にどの弁護士へ依頼するか、結論を出せば良いのです。
弁護士は、相談だけで終ることも多いので、正式な依頼を受ける前の段階であれば、医師が複数の弁護士に相談をすることに、問題を感じることはないでしょう。医師としては、紹介者への立場もありますが、自らの責任を問われる医療過誤、医療ミスの裁判を任せる者を決める重要な決断なので、自分の納得できる弁護士に依頼すべきです。


医療過誤、医療ミスのトラブルにお悩みの医師の方は、お電話を下さい。取るべき対応や留意点などを具体的にアドバイス致します。


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