医科の指導監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。
サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、個別指導と監査の対応業務を行っています。
個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。
弁護士鈴木が力を入れている指導監査のコラムです。
ここでは、保険診療(療養担当規則)についてご説明を致します。 内容は、厚生労働省保険局医療課医療指導監査室の公表資料「保健診療の理解のために」に基づいており、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。
個別指導、監査に悩んでいる医師の方は、指導、監査に詳しい弁護士への速やかな相談をお勧めします。個別指導、監査では、弁護士を立ち会わせるべきです。以下のコラムもご覧いただければ幸いです。
指導監査のコラム
1 個別指導と監査の上手な対応法
第3 療養担当規則について
1 療養担当規則とは
正式名:『保険医療機関及び保険医療養担当規則』
(厚生労働大臣が定めた規則:省令)
第1章 保険医療機関の療養担当
療養の給付の担当範囲、担当方針 等
第2章 保険医の診療方針等
診療の一般的・具体的方針、診療録の記載 等
保険医療機関や保険医が保険診療を行う上で守らなければならない基本的な規則
2 療養の給付の担当の範囲(第1条)
「療養の範囲」=「保険診療の範囲」
→「医療の範囲」とは異なる
3 療養の給付の担当方針(第2条)
保険医療機関は、懇切丁寧に療養の給付を担当しなければならない。
保険医療機関が担当する療養の給付は、患者の療養上妥当適切なものでなければならない。
4 適正な手続きの確保(第2条の3)
保険医療機関は、その担当する療養の給付に関し、厚生労働大臣又は地方厚生(支)局に対する申請、届け出、療養の給付に関する費用の請求に係わる手続を適正に行わなければならない。
(例)7:1入院基本料で届け出していたが、看護師の数が少なくなり、7:1が維持出来なくなったため、10:1に申請しなおした。
5 適正な費用の請求の確保(第23条の2)
保険医は、その行った診療に関する情報の提供等について、保険医療機関が行う療養の給付に関する費用の請求が適切なものとなるよう努めなければならない。
6 特定の保険薬局への誘導の禁止
処方せんの交付に関し、患者に対して特定の保険薬局において調剤を受けるべき旨の指示等を行ってはならない。
処方せんの交付に関し、患者に対して特定の保険薬局において調剤を受けるべき旨の指示等を行うことの対償として、保険薬局から金品その他の財産上の利益を収受してはならない。
7 処方せんの交付(第23条)
保険医は、処方せんに必要な事項を記載しなければならない。(医薬品名、分量、用法及び用量)
保険医は、その交付した処方せんに関し、保険薬剤師から疑義の照会があった場合には、これに適切に対応しなければならない。
8 経済上の利益の提供による誘引の禁止
患者に対して、受領する費用の額に応じて収益業務に係る物品の対価の値引き等、健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益の提供により自己の保険医療機関で診療を受けるように誘引してはならない。
事業者又はその従業員に対して、患者を紹介する対価として金品を提供する等、健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益の提供により自己の保険医療機関で診療を受けるように誘引してはならない。
9 診療の具体的方針(第20条)
診察を行う場合は、患者の服薬状況及び薬剤服用歴を確認しなければならない。
往診は、診療上必要があると認められる場合に行う。
各種の検査は、診療上必要があると認められる場合に行う。
手術、リハビリテーションは、必要があると認められる場合に行う。
処置は、必要の程度において行う。
入院の指示は、療養上必要があると認められる場合に行う。
投薬は、必要があると認められる場合に行う。
同一の投薬は、みだりに反復せず、症状の経過に応じて投薬の内容を変更する等の考慮をしなければならない。
注射は、経口投与をすることができないとき、又は経口投与によっては治療の効果を期待することができないとき等に行う。
投薬・注射を行うに当たっては、後発医薬品の使用を考慮する。
輸血又は電解質若しくは血液代用剤の補液は、必要があると認められる場合に行う。 等
10 特殊療法等の禁止(第18条)
保険医は、特殊な療法又は新しい療法等(新しい医療材料含む)については、厚生労働大臣の定めるもののほか行ってはならない。
(例外)先進医療
※先進医療の届出がない場合は、 一連の診療は保険請求できず、すべて自由診療となる。
11 研究的検査の禁止(第20条)
(保険医は)各種の検査は、研究の目的をもって行ってはならない。
(例外)保険外併用療養費制度を用いた治験等
12 健康診断の禁止(第12条、第20条)
保険医の診療は、一般に医師として診療の必要があると認められる疾病又は負傷に対して、適確な診断をもととし、患者の健康の保持増進上妥当適切に行われなければならない。
健康診断は、療養の給付の対象として行ってはならない。
個別指導、監査に悩んでいる医師の方は、お電話を下さい。個別指導、監査への対応方法をアドバイス致します。
指導監査のコラム
指導監査のコラムです。
個別指導、監査の際に、また日常の医院運営にご活用下さい。
保険診療と指導監査のコラム
1 保険診療と指導監査(1):保険診療の仕組み
2 保険診療と指導監査(2):医師法・医療法・医薬品医療機器等法
3 保険診療と指導監査(3):療養担当規則の概説
4 保険診療と指導監査(4):診療録(カルテ)の留意事項
5 保険診療と指導監査(5):入院基本料、看護要員配置の保険請求
6 保険診療と指導監査(6):がん患者指導管理料、在宅医療
7 保険診療と指導監査(7):投薬、後発医薬品の保険請求
8 保険診療と指導監査(8):手術、先進医療の保険請求
9 保険診療と指導監査(9):診断群分類の保険請求と給付調整
10 保険診療と指導監査(10):指導、監査と診療報酬請求
保険医取消の実例紹介のコラム
1 保険医取消の実例:後発医薬品を先発医薬品とする不正請求
2 保険医取消の実例:診療報酬不正請求による逮捕と保険医取消
3 保険医取消の実例:検査結果の廃棄、保険適用外診療の不正請求
4 保険医取消の実例:死亡患者の診療報酬請求、コンタクトの不正
5 保険医取消の実例:鍼灸院や整骨院との不正請求、診療録の不作成
6 保険医取消の実例:監査の不出頭、カルテの改ざんによる取消処分
7 保険医取消の実例:無診察処方、無診察投薬による取消処分
8 保険医取消の実例:個別指導中の医師の入院と指導の延期